6. コース別採用制度の今後の方向〔第27・28表参照〕
上記5の女性総合職採用の社内での評価を背景に、重ねてコース別採用制度の今後の方向について調査した結果、回答があった企業全体で、79.2%が「続けるつもり」で、「廃止の方向で検討」は僅か8.7%に過ぎなかった。女性総合職の処遇を含め種々の問題があるにしても、コース別採用制度はなお存続の方向に動いていることが明らかである。
ただし、これを企業規模別に精査すると、「1・2千人台」規模では、「廃止の方向で検討」が14.9%と高くなっているのも注目される。
女性総合職については、「男性社会の風圧をまともに受け、疲弊していった。平成13年1月12日・日本経済新聞)」という見方が正鵠を射ているのかどうか問題はあるにしても、少なくとも「職務の範囲と責任の問題」、「女性総合職自身の結婚・出産・育児に係る問題」、「女性一般職との間の職務と処遇のバランスの問題」など現実にはかなり多くの問題が内在しているように見受けられ、また、「実績主義」を標携する「ポスト総合職人事管理方式」の胎動も感じられる。
また、1.のアで指摘したように、「5千人以上」規模で既にかなりの企業が総合職・一般職のコース別採用制度を止めたと見られ、さらには、上述のように「廃止の方向で検討」が10%近くに及んでいることは、ある意味でそれらの問題点が顕在化しつつあることを物語っているようにも見受けられる。
総合職・一般職のコース別採用制度が、人事制度として現にどのような効果を挙げているか、今後とも経営的にも、勤労者にとっても有効に機能するものであるのかどうかなど、俄かに判断することは難しいが、そしてまた、それが今後とも定着する方向で推移するかどうかも不透明な面があるが、女性総合職に係る諸般の問題点が整理され、具体的対応策が講じられつつ、企業経営に資する人事制度として止揚されていくことを期待したい。