日本財団 図書館


次に、中高年者層については、「30歳代」、「40歳代」、「50歳代」に区分して変化を聞いたところ、「増えてきている」との回答は「50歳代」が25.6%と最も高く、続いて「30歳代」が16.6%、「40歳代」は11.1%であった。一方、「減ってきている」は、「30歳代」、「40歳代」は10%未満であるのに対し、「50歳代」は12.1%とやや多い。このことは企業によって「50歳代」の退職者が増え続けているグループと減ってきているグループに分化しているように思える。

(2) 今後の常用雇用者の退職動向〔第3図参照〕

常用雇用者の退職者は今後どのように推移していくのかを「若年者層」と「中高年者層」に分けて企業に尋ねたところ、次のようなこととなった。

今後「ますます増加する」は「若年者層」が23.7%で、「中高年者層」の18.5%を上回っている。逆に「今後は減少する」との答えは「若年者層」は3.8%に過ぎず、「若年者層」の退職者はこれからも増加する傾向が読み取れる。なお、「あまり変化はない」との回答は「若年者層」、「中高年者層」とも70%台であったので、総体としては、多くの企業はほぼ現状維持で推移するとみているようである。

 

第3図 常用雇用者のここ数年間の退職者数の増減状況及び今後の動向

007-1.gif

 

(3) 退職の理由〔第4図参照

なぜ退職するのか。その理由をいくつか用意して複数回答で尋ねた。まず、「若年者層」についてみると、最も多い回答は「自分の適性を活かせる仕事ではなかった」の83.7%で、いわゆるミスマッチが圧倒的理由になっている。また、「会社の処遇条件に不満がある」も43.6%にのぼり、いずれも就職に当たり研究不十分と思わせるものがある。率として2番目は「結婚」の60.3%で、女性の職場進出が取り上げられる中にあって、依然として結婚退職の実態がかなりみられることがうかがえる。

このほか「勤務時間が長く、個人の時間が取れない」という今時の若者らしい理由も28.7%あった。「他社から誘われて」の退職も24.1%あった。このうち最も大きな要因についてみても「適性を活かせない」の回答が49.7%で、「処遇に不満」と「個人の時間が持てない」の13.5%より断然高くなっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION