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そういう状態から、今は「どんぐり銀行」という運動をやっています。これはお金の銀行ではなく、どんぐりを集めることによって木を皆さんにあげています。どんぐりが1つを「1どんぐり」といいまして、これが100個集まると苗木を与えています。クヌギの場合や、大きなどんぐりの場合は「10どんぐり」になりまして、これを10個集めれば「100どんぐり」になるわけです。

 

16] 「どんぐり銀行」を知っている方は○、知らない方は×を上げてください。

 

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どんぐり銀行は高松にもあります。

もうひとつ、「どんぐり共和国」というものもあります。微力ですが、やはり山の中でだれかが動かなければそういう運動が起きてきません。小さな運動ですが、こういう状態でどんぐり銀行を作りながら、植樹の運動をやっています。

これは3月、春に植樹をやっていますので、ご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひ参加していただきたいと思います。

利息も今、年利12%を付けていまして、日本で一番金利のいい銀行になっています。

 

(大谷) それでは、木下さん、お願いします。

 

(木下) 先程、最後にカマキリ(アユカケ)という魚をご紹介しましたが、私が昔いた京都府の隣の福井県の九頭竜川というところはアユカケの名産地で、県の天然記念物にされています。そのアユカケという魚は普段は川で暮らしています。

<以下、スライド併用>

有名な東尋坊です。実はナホトカ号が流れてきて、その油がここ一帯に漂着しました。アユカケはこういった緩衝域で卵を生みます。ですから、九頭竜川のアユカケは全滅したのではないか、と心配して調査したときの写真です。

このように、アユカケの産卵場となるところが油で全く汚れてしまいました。

もし全くアユカケの産卵が行われていなければ、波打ち際に子ども(稚魚)が出てくるわけはないのですが、我々は学生と一緒にそれが出てくるかどうかという調査をしました。

幸いにも出てきました。ということは、生物というのはきわめて弱いものですが、きわめて強いものである。しかし、ある一点が切れてしまうと全滅してしまうということがわかりました。

我々が昔、アカメの調査を行った四万十川の俯瞰図です。四万十川の河口域、すばらしい河口域です。日本全国、このような河口域は大きな川ではどこでも見られたと思います。つまり、どんな大潮の干潮時でも、必ず川底に海水がある程度残る川です。

それが広大な面積を占めている川は全国どこでもあったのですが、皆さんご存じのように、こういった河口域は、必ず人間の工場や港湾の生産の場になってしまいます。ですから、ほとんどつぶされてきました。

高知県の中村市は幸か不幸か残されていたわけです。ここがアカメを含む魚のすばらしい成育場になっていることがわかりました。大島というデルタ(中州)と本流との河岸の間の部分にコアマモという顕花植物がきわめて濃密に生える場所があり、そこが特に魚の成育場になっていることがわかりました。

コアマモというのは、全く海水が残らないところでは生えません。絶滅してしまいます。すなわち、川の浚渫や川を本当にといのように真っ直ぐにしてしまった川では絶滅してしまうわけです。これはたぶん日本全国にあったと思います。

コアマモの水中写真です。海藻ではなく、植物です。花が咲きます。

 

 

 

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