こういうものが今どんどんできているわけです。「山が滑ってくると危ないので、そのために堰堤をやっていけば、皆さんには安全でしょう」という言葉をうまくやりながら、これはいわば土建屋さんの儲けの仕事です。こういうものをやれば、大きなものであれば何十億とかかってきます。
(ナレーション) 砂防ダムが土砂をせき止めるのには限界があります。土砂が堆積してしまえば、その役目を果たさないからです。
川村 「ここが昨年できた砂防堰堤です。砂防という意味が見えないように、もはや砂がいっぱいたまっています」
このように1年ですぐにたまってしまいます。
たまってしまうとどうするかといいますと、また上にもう1つ砂防堰堤を作るわけです。そして何年もしないうちに、またここにできます。またここがたまってきたら、またここに作ります。その繰り返しをずっとやっているわけです。ですから、川ではなく、訳のわからないものがたくさんできて、完璧に川は死んでいきます。
そこで、私たちは、こういうところの部分は全部スギかヒノキの山ですが、ここに広葉樹を植えて、土を止めていかなければだめだということで提案を持っていくのですが、なかなかそれは行政の方にはご理解していただけないという現状があります。この堰堤は全国どこの川にもあります。
川村 「広葉樹をかなり周りに植えておけば、これだけ砂が流れてこなくて済むのではないかと私などは思いますが」
(ナレーション) 砂防ダムは土砂がたまれば次の砂防ダムをつくるしかありません。その代わりを担ってくれるのが広葉樹の森なのです。
このように1個できて、2個、3個、4個、5個と、これで約5億かかりますね。これだけ税金が使われるわけです。ですから、山というよりもビルのようなものです。
これなども周りにもう少しきちんとしたものを植えていってやれば、こういうことをしなくもいいのにやってしまう。これが最終的にどうなるかといいますと、いろいろな環境問題も出てくると、今度はそれを壊す事業もまた出てきます。こういうことが今、山で起きています。
(ナレーション) 先日、大川村でどんぐり銀行による2回目の植樹祭が行われました。今回は植樹祭のために針葉樹を伐採した山に200本の広葉樹を植えます。植樹祭に参加した人は80人。みんな、どんぐり銀行の必要性を感じ、東京、大阪、福岡など全国各地からやってきました。
今回の植樹は、川村さんにとってうれしいことが2つあります。1つは、広葉樹を植える場所を針葉樹を伐採してまで村が用意してくれたこと。もう1つは、植樹をする場所が砂防ダムの近くにあることです。
植えられた木は、これから村の人たちによって育てられていきます。今は水を蓄える力はありません。川に流れ込む土砂を防ぐこともできません。でも、この小さな1歩が将来、水の豊かな森を育むのです。
これでビデオは終わります。
それでは、皆さんに質問したいと思います。
15] 砂防堰堤を実際に現地で見たことがある方は○、ない方は×を上げてください。