(大谷) ○×の回答に対して一言コメントをいただきましたが、パネリストも田島さんもまだ言い足りないようです。しかし、後30分しかありません。
川村さんには木星会の話を少ししていただきました。それを踏まえて、今の山、あるいは山の中に流れている川の現状と今後どういう問題があるかということを少し追加していただければ、と思います。コーディネーターの特権で、短くお願いします。
(川村) では、先にビデオをご覧ください。
(ナレーション) しかし、森の中では緑の砂漠化が始まっている、と川村さんは言います。
川村 「ちょうどここを見ていただくとわかりますように、谷があって、その周りの白いところは広葉樹です。広葉樹というのは葉っぱが落ちますので、こういう状態で白く見えます。左手の方に見えるグリーンは針葉樹、スギ、ヒノキなどです。ちょうどスギの木の右横に崩壊地があります。そこはちょうどスギの木の密植地があったので、そこのところで砂漠化状態が起きて下に落ちたということになっています」
針葉樹の森は水を蓄える力が弱いため、緑の砂漠化が起こりやすいそうです。森の中は一体どうなっているのでしょう。およそ70%を占める針葉樹。その中で起こっている緑の砂漠化とはどういうことなのでしょうか。植樹されてから30年たった森に入ってみることにしました。
川村 「緑の砂漠と言われるのは、このように上がグリーンであっても、下がこのような状態で完璧に砂地になってきているわけです。草が生えない状態。これからだんだんこの部分が砂のようになってきます。もっと光が入らなくなるとダラダラと滑り、こういう状態で滑ります。こういう状態です。ですから、雨が降って流れてくるとこれがずっと流れていきます。根っこが出てきます。そのうちにここがガバッと下の方に抜け落ちていきます」
これが緑の砂漠化といいまして、特に針葉樹の中でこういう現象が見られます。
スギやヒノキは一年中葉っぱが落ちません。普通の木は三角に描きますよね。木が大きくなり、木が密植してくると、地面に光が入らなくなり、砂漠化になり、密植地が自然に崩壊したり、光が入りませんので、こういう状態のところには砂が出てきます。そうなってくると、大雨が降ると砂地がザッと流れてしまって、崩壊が始まります。こういう森が今、どんどん増えています。
これができるとどうなってくるかということを、川の方の現状を見てみたいと思います。
(ナレーション) 植えられた針葉樹の森では地面に光が届かないため、土になる草が育ちません。そのため石ころや砂が地面を覆っています。この砂漠化を防ぐためにまず重要なことは地面に太陽の光が届くように木を間引いてあげることです。
ここは川村さんが手入れをして木を間引いた間伐展示林。地面に太陽の光があたることによって下草が育ちます。こうすれば森の水を蓄える力も増え、がけ崩れや川へ土砂が流れ込むことも防げるのです。しかし現在、川へ流れ込む土砂をせき止めているのは砂防ダム。森の手入れは二の次にされているのが現状です。
川村「ここの砂防堰堤はできて3年目くらいになりますが、できる前はすごく水がきれいに流れていて、石もゴロゴロあって、魚もたくさんいましたが、ご覧の通り、砂がたまって水が全然見えません」
これが砂防堰堤です。
先程行ったように山の方から砂が流れてきます。堰堤に砂がたまってきます。すると、水がこの中を通って出ていくわけです。砂防堰堤の上の表面は完璧に砂地になります。そして、川が完璧に寸断されてしまいます。上から来る川の水が寸断されることと、こういう状態で砂がたまると養分なども全然ないので、川が死んだ川になってしまいます。