そういうものをヤギは好きですから、毎日取りにいって、刈って食べさせていました。
よく雑木林の中に入って自然観察やバードウォッチングで「皆さん、自然はいいですね」とやっていますが、あれはウソです。僕が森の中へ入って落ち葉をかき分け草を刈ったりしてガサガサやると「自然」ではなくなります。ヒメネズミが走り回ったり、小動物がいろいろな営みをしていたり、小鳥も近くまで飛んできたり、リスやノウサギたちが楽しく暮らしている場所へ人間が入るとみんな隠れてしまうわけですから、そこは自然ではありません。
ところが、草刈りをしていると、こういう格好ですからうんこをしたくなります。毎日ほとんど草刈りの途中で、もよおすと野グソをするわけです。
野グソの経験のある人、手を上げてください。結構多いですね。子どもたちにいないのは残念です。
僕がなぜ野グソを推奨するかといいますと、やはりうんこをしているときは目立ちたくないですよね。ですから、木になりきったり、岩になりきったりするわけです。そうすると気配が消えるわけです。今までどこか穴や巣の中に隠れてしまった小動物たちがチョロチョロと動き出します。
まず、ヒメネズミやトカゲなど、小さなものたちが枯れ葉の上を動き出します。その内にかなり大胆なことをする奴が現れます。雑木林の中で落ち葉が噴水のように舞い上がります。それが1ヶ所ではなく、あそこでも、あそこでも、やり始めます。「何だろう」と思って、うんこをしながらよく見ていると、ホンドリスです。リスが、落ち葉が散り敷く前にドングリが落ちていますから、その落ち葉を放り投げておいて、その間にパパパッとドングリを口に入れて拾うのです。そして、枝の頂上まで上がったかと思うと全然違う場所にすっと落ちて、そこでまた同じことをやるのです。毎日うんこをする度にそれが見られるわけですから、本当に楽しみでした。
僕はこの前、愛知県の自然の豊かな場所でワークショップを頼まれて、「じゃあ、野グソのワークショップを」ということでやりました。やはり野グソの仕方を知らなければ、いろいろ間違いが起こります。まず少し穴を掘っておかなければ、下手に平地でやるとお尻をひょいと動かしたとたんにペタッと盛り上がったやつがお尻のホッペに付いたりしますし、拭き方も絶対にティッシュペーパーなどは使ってほしくありません。自然界にあんな紙などが飛んでいたりすると嫌ですよね。葉っぱを使います。照葉樹の葉っぱがいいと僕は思います。細かい毛が付いていたり、ギザギザがあったり、尖っていたりする葉っぱはもちろん避けなければいけません。拭こうと思わずに、こそげるというやり方でなければいけません。葉っぱで拭いてはダメです。
そういうことを子どもたちに教えて、「さあみんな、雑木林に散らばってうんこをしてこい」と言って、朝のうんこをしないで集まってもらったのですが、誰もしませんでした。やはり外でうんこをする習慣がなくなったのですかね。これもグリグリとともに子どもたちにぜひ復活してもらいたいです。
それは大人もそうです。そして、マナーです。オーバーユースという話がありますが、何百人もが行って雑木林にうんこをするのもよくないし、それをほじくって動物が食べることもありますので、病気の人はなるべくしてほしくありません。自分の健康も大事ですが、自然界に汚れた自分の病原菌をふりまかないことも大事です。そういう人は、深く掘って埋めれば大丈夫ではないかと思います。
今日の話がそれだけで終わるのではまずいので、次に行きます。
そのようにすばらしい自然の場所が、僕が日の出町に引っ越して15年目に、巨大な東洋一の一般廃棄物処分場になりました。決めた人が隣のおっさんなのです。隣のおじさんが突然町長になってしまいました。これは反対しにくいですよ。
僕は、反対運動は起こせませんでしたが、「これはまずいと思います。あそこはこんなにいいところなんですよ」と町長さんに話しました。もちろん野グソの話はしませんでしたが、リスの話やタヌキやノウサギなどにはしょっちゅう出会うという話をしました。そういう動物たちが生息する非常に大きな生態系です。オオタカが食事した跡などがたくさん見つかりましたし、こんこん湧いた水が流れ出る、川の始まる場所なのです。