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それから、ギフチョウの姿が消えたということなのですが、その餌になるカンアオイという植物が弥栄村にはたくさん自生しています。この近くでは浜田の鍋石、一ノ瀬あたりにもたくさん自生しています。そういったものの保護活動も今展開しています。

川の方では、イシドジョウが最近発見されました。これは江の川から高津川の間にしかいない、貴重なものですが、周布川、三隅川にも当然おります。

そういうことを県では調査して発表したのですが、現場の方がご存じないことが多いので、県の河川管理者に対してそういったものに配慮して工事をしてもらうお願いもしております。

そして、学校の方にも「こういったものが地元に教材としていますよ」とお知らせしております。

ごみに関しては、台所からの取り組みとして、数年前に「ごみの出ない料理教室」を開催しました。要するに元は単純な話で、全部食べればいい、一物全体、そういった発想の料理方法を取得すれば、元々は生ゴミは出にくいものだろうということで展開し、かなりの参加者がおられました。今も実践しているかどうか、その辺は定かではありません。

あと、石けんの普及活動も行っていますが、先程来、漁協婦人部さんも唐鐘の方も「合成洗剤ではなくて石けんを」ということを言っておられました。そうなれば、かなり川の状態は変わると思います。

私は他のパネリストの方々と少し見解が違うようです。「米のとぎ汁、味噌汁等を川に流さないで、畑とか農地にかえす」と言われるものの、昔、皆さんがまだ幼い頃にそういうことはしなかったと思うのです。というのは、川にはそれを餌にして分解してくれる動植物がたくさんいたからだと思うのです。だから、皆さんは子どもの頃は川に入って、たくさんいた魚をとったりとかできたと思うのです。

今はそのバランスが崩れて、分解してくれるものがいなくなりました。いくら生き物がすもうと思っても、三面張りとか横がブロックだとか、そういった所ではすめないわけです。こういった生き物がすめる環境をつくってやれば、こんなに手間のかかることはしなくても、素直に川に流してもいいと思うのです。そして、そういうものがすめない状況は、化学物質という昔はなかったものが今出現したために起こっているのではないかと私は思っています。

それと有機農業の実践ですが、今日私が一番言いたいのはこの部分でして、要するに農薬と化学肥料を使わない農業の話なのですが、実際にはそういった生産はやればできると思うのです。

次は、その生産したものを換金していかないといけない。再生産できないと村に住めないわけです。

プロフィールに「弥栄流デカップリング」と書きましたが、ヨーロッパでは既にこういった考えで、田舎に住む農家に対して国が直接補償をしています。「都会に来るな、バランスが崩れるからお前たちは田舎でも暮らしていけよ」と、「その代わり、援助しましょう」というわけです。ただし、日本のような援助ではなくて、国が自然環境に配慮した生産活動、ライフスタイルに対して行うものなのです。

こうなったらどうでしょうか。下流に住む方も、「これなら税金納めてもいいよ、そういう人たちに直接補償してもいいよ」という形で、お互いの理解が深まると思います。

今、日本では部分的ですが、生協が私たちの生産活動に対して応援し、なおかつ流通を担当し、私たちに再生産のためのお金をまた返してくれる、という役割をしています。そういった経済の仕組みもないと、理念だけでは継続できません。

生産活動の現場ではそういったことがありますので、経済の仕組みも考えた上でこういったことも考えていただけないかなという思い、このデカップリングというのを使わせていただきました。

また後でパネルディスカッションもあるようですので、以上で終わらせていただきます。

信号もなくて、国道もなくて、JRもなくて、温泉もない、ゴルフ場も頼んでも来てくれないような山奥から来ました、三浦でした。

 

 

 

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