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先程の酸性雨の件ですが、中学校が、pH以外の内容物も島根県の衛生公害研究所で調べてもらいました。びっくりしたことに、海水がかなりの量で混じっておりまして、この中国山地の山々、農地は日本海のミネラルをもらってバランスも保ってきた、そういう自然のメカニズムもあったのではないかと、私は今そういった気もしております。

酸性雨というひとつの概念で、悪いということばかりではなくて、海からの恵みも、実は山のそういう現象でも、冬に海が荒れたという状況、それが空に舞い上がり山にそうした循環があったのではないかという中学生の研究の中で少しずつわかってきました。

山から次は川へいきます。

建設省では最近「多自然型工法」というのに取り組んでおられるようです。私たちのグループで、この村でこういうことをやってもらえないだろうか、という話をしましたら、これは5万人以上の人口のある都市での工法なのだ、ということでした。

自然しか取り柄のない農山村には、残念ながらそういう工法はとってもらえず、側面はブロックで積み上げられた川となり、農林水産省の管轄の以前小川だった水路も、今は三面張りとなりました。

そこに生物が生息するには、いくら餌があっても、その生物に根性があっても、とてもそこにすめるような環境ではございません。ましてや、そのような状況ですので、昔のように川で魚を釣るような子どもの姿も今ではほとんど見受けられません。

川の水質検査も、数年前から約25ポイントを決め、継続して行っています。唐鐘川の方も独自にされていますが、私たちもそれを継続しております。

先程CODとかBODとかSSとかいう話もありましたが、私たちも同類のものをやりますけれども、合成洗剤も調査しております。

数億円もかけて、弥栄村は集落排水の施設をつくりました。その排水口からも合成洗剤は出ていました。ということは、分解されない。自然界にはなかった化学物質ですので、そうした施設においてもそのまままた川へ、そして海へ行くのです。

最近の合成洗剤はコンパクトなものが非常に売れているそうですが、その成分であるマイナスイオンの界面活性剤が、今話題の環境ホルモンのひとつではないかと言われています。そういうものがたくさん売れて、どんな浄化施設でも浄化されずに海へ今流れているとされています。現に、国内の海岸においては、ある種の巻き貝においてその生息の異変が今大変多く発見されているようです。

農業部門でも近代化といいますか、そういったことで農薬とか化学肥料もたくさん使われるようになりまして、もちろん生産量もそのおかげで増えたわけですが、自然環境というか、生態系のバランスは、それだけの理由ではありませんが、それも含めた理由で、今崩れているのではないか、という気がいたしております。

今日うしろにこういう旗(やめようよ!!すててあっても二人めは!/生きているぞ!!三隅川/水澄まし三隅・水澄ましやさか・弥栄中学校)を掲げましたけれども、これは今から話をします。

私たちは、そういった現状の中で、どういう運動をするのか、したいのか。普段の生活や生産活動も含め、私たちが行った行為が下流の方にはどういう影響があるのか。

下流といいますと、弥栄村は三隅川と周布川が通過しておりますので、三隅の方、浜田市の方にどんな影響があるのかということです。一番わかりやすかったのが三隅ということで、その実態を把握するために三隅の方とは様々な形で交流してきました。

こうした交流を重ねるなかで、このような旗を作り、「みず澄ましやさか」「みず澄まし三隅」としての活動を展開しながらも、今ではみず澄ましグループとしてお互いに緊密に交流し、情報交換を行っております。

その交流の中でわかったことは、先程来いろいろ出ましたが、三隅に行きますと、そこの漁業の方の話では、「お前たちの山は松が枯れたと言うが、海の方でも磯焼けという、岩肌に海草が生えていないハゲた岩が多くなったのだ」ということです。もちろん漁獲量も減っている。

 

 

 

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