この表題は、実は「こういうふうになればいいな」という願望ですので、なっているわけではございません。その辺はご了承いただきたいと思います。
まず、「みず澄ましやさか」という団体の内容を少し説明しますと、9年前に島根県の生活学校で、婦人会に対して「川の水質浄化運動をやらないか」ということで、いろいろ運動に取り組んだのですが、すそ野が広がらないため、各種団体に呼びかけて「みず澄ましやさか」というグループが作られました。
その中にたまたま私たちの青年セミナーがあったのです。私たちは以前から「弥栄村の山村のよさを子どもたちに伝えようではないか」ということで、「自然を食う会」というのをやっていましたが、その活動を評価していただいたのでしょうか、誘っていただき、今に至っております。
弥栄村の実態を少しお話しますと、針葉樹の人工樹林率が約30%で、30〜40年生が多いそうです。
ご存じの通り、今、木材事情は大変悪く、海外からの輸入とか、全国で一斉にした植林のため、需要に対する供給のバランスが崩れており、木材価格は下落しています。要するに、山を畑のように木材生産地として考えた事業が今、ことごとく失敗しています。それで、今間伐とか枝打ちをしなければいけない適期に来ている木に対して、そういった事業がなされず、ますます品質は低下し、木材の価格も共に低下するという悪循環になっているようです。
木材の品質が低下するとともに、山が本来持っていました保水能力とか、多様な動植物を育む能力も低下しております。
浜田市ではもう中止されましたが、弥栄村は昭和60年ぐらいから松枯れが目につくようになり、昭和62年からヘリコプターを使った殺虫剤散布が始まりました。通常田んぼ、畑で使います希釈度合い、つまり、薄める度合いの数十倍という濃い濃度で空から撒いています。
松枯れに対しては国も県もマツノザイ線虫というひとつの虫の説をとりまして、複合的な要因というのを排除し、今でも実施されております。
弥栄中学校は、数年前に酸性雨の調査を生徒会で始めました。その動機としては、「松枯れの原因が本当に虫だけなのだろうか」という素朴な子どもたちの発想から行われました。中学生の調査結果ではPh3.5という強酸性の雨が、ここ浜田も含め、弥栄地帯では降っているようです。数字でいいますとわかりづらいでしょうが、オレンジジュースと言えばおわかりになるかもしれません。そのぐらいのものが1年に数回は降っているようです。
そのようなこともありまして、弥栄村にいると県で報告されています天然記念物の二ホンヤマネとか、オオサンショウウオ、絶滅の危機に瀕しているというレッドデータブックに載っているギフチョウの姿がすでに弥栄村から姿を消しました。
また、少し雨が降っても川はすぐ濁りますし、アユを三隅川漁協弥栄支部の方が放流されておりましたが、アユを放流しても、土砂の流出によって岩肌が隠れ、苔が生える面積が減少しているため、大きくならないのではないか、という漁師さんからの声も出ております。