漁港整備、開発と言って、海底を掘ったり石を捨てたりの工事が何年も続いているため、魚、サザエ、アワビといった磯もの等が捕獲される岩場、瀬なども次々となくなっています。
これでは漁業者の生活は成り立っていきません。整備して将来はいいかもしれませんが、魚のすめない海にしてはいけないと思います。
沖で網を曳けば、魚がとれるのが当然なのに、洗濯機が入ったり、ドラム缶、自転車、ペットボトル、スーパーの袋等、国産品から外国産品と、色々なものが入り交じっています。
そのため、船主である我々は、年に2回、海底清掃に参加します。漁業者がわざわざ漁を休んで海底清掃に参加しなければならないとは、昔では考えられない時代になったと思います。でも、今これをやっておかなければ、将来日本の海では魚はとれなくなるかもしれません。
私たち漁協婦人部も、合成洗剤追放運動に取り組んでずいぶん経ちますが、なかなか徹底しません。一時期洗剤の消費量が増えたこともありましたが、「いつの間にかまた元に戻る」の繰り返しです。確かに合成洗剤を使用すると洗濯物は白く見えるため、きれいになったと錯覚し、環境問題とは裏腹に使用量が増えるのが現状です。環境に悪いとわかっているのに止められない、というジレンマに陥ってしまっています。このため、根強い啓発活動を続けていきたいと思います。
毎年開催されている「しまね農山漁村女性の集い」という会が、昨年は会場を海の見える場所でということで、浜田市国府町の千畳苑で、2日間実施されました。1日目は環境問題等いろいろ話し合い、2日目は参加者200名で海岸の清掃を行いました。
集まったごみは国産品、外国産品、ペットボトル、スーパーの袋等、あまりの量の多さにJA女性部、生活改善グループの方々もびっくりしていました。
でも、この海を将来の子どもたちへつなげていくためには、私たちの細々とした活動でも、海岸の清掃を続けていかねばならないと思っています。
漁協婦人部では、浜掃除をするだけでなく、県下の婦人団体6団体の集まりで、地域全体で環境保全を進めるための活動をしており、「きれいな水はまず台所から実行委員会」の活動で、「取り組もう!身近な環境保全」、「やってみませんか、米のとぎ汁栽培を」と、ミニトマトと春菊の栽培を試みました。
米のとぎ汁は栄養分(リン等)を多く含み、それを流すと川や湖、海を汚す原因になります。特に1回目のとぎ汁にリンが多く含まれているそうです。
とぎ汁栽培により、作物を自ら育てる楽しみを知りました。米のとぎ汁だけでなく、野菜や魚を洗った水もためておいて、鉢植えに撒いたりして使い、水道水の無駄も防いでいます。
私たちは元浜の公園にも部員どうしで協力して花を育てていまして、夕方、漁から帰ってこられる漁師さんも「花を見ると、疲れもいっぺんに吹き飛んで、いいことだ」と言ってくださいます。やはり、誰でもきれいな花を見ると気持ちが落ちつくようですから、この活動はいつまでも皆で続けていこうと、張り切ってやっています。
「森は海の恋人」という言葉があります。森の養分が川に流れ込み、それが海へと流れ、海の生物が繁殖するのです。
山口県の越々浜漁協婦人部の方々が、植樹運動を展開しておられるのを見て、私たちも少しずつでもそのような運動ができたら、とも考えています。
島根の海は、あまり荒らされていないきれいな海だということで、色々な所から夏には海水浴の人がたくさん来られます。
今年4月には「しまね海洋館アクアス」がオープンしましたし、さらに8月にはマリン大橋も開通しました。まだマリン大橋は行き止まりの状態なのですが、昼間の景色、きれいな夕日の落ちる景色、夜の漁火見物と、たくさんの車が走っています。
これから先、子どもたちの時代になっても、島根の、特に浜田の海はきれいな海だと、たくさんの人たちに来てもらえるように、「ごみを流さず・捨てず」の気持ちで、私たちも活動を続けていきたいと思っています。