(佐々木) 先程、ホタテ養殖だけでは排泄物がたまるので、それを掃除できる方法があればなおいいというお話が出ましたが、実は青森市は相当前から何がいいかと考えてきました。
今日おいでの青森市の漁業者の皆さん方はおわかりだと思いますが、ナマコの養殖に取り組んでいます。これまで何年経ったか、あまり長くやったので忘れましたが、それがようやく水揚げされます。それでもまだ1千万円程度です。ナマコは年間何十万匹も放流していて、どこが生息環境に適しているかもだんだんわかってきました。これが海を少しきれいにして、循環がうまくいくような効果が上がれば大変うれしいと思っています。こういう事業がひとつあります。
それから、もうひとつ。半成貝ばかり出荷しているのではないか、と厳しいお尋ねがありました。危険回避のために半成貝を出さざるをえない現状への対策として、県も市も一緒になって保険料を行政で補助し、危険分散を図っています。それで、かなり大きめの貝が出せるようになってきていると思っています。それは漁業士会の方から最終的におっしゃっていただきたいと思います。
最後に、植物プランクトンの問題です。
植物プランクトンをホタテがたくさん食べても、それ以上に植物プランクトンが増えればいいわけです。その植物プランクトンが増えるためには、二酸化炭素(CO2)、水、太陽の光、その他に窒素、リンも養分として必要です。
ところが、ある本によりますと、窒素、リンなどを吸収するためには、鉄分がないと吸収できないということです。その鉄分は何から供給されるかといいますと、腐葉土です。山の木、森、そして腐葉土ができて、それが山のいろいろなものを溶かし込んで、川をつたって海に流れます。その中に入っている鉄分などが存在することで栄養が取り込めるということが書いてありました。
私が言いたいのは、「森は海の恋人」だということです。宮城県のカキ養殖業、畠山重篤さんは「森は海の恋人」ということで、森づくり運動を一生懸命しています。教科書にも載っている方で、私も交流しています。陸奥湾を抱える青森県も、海も山も一緒になっていい森をつくり、いい腐葉土がいっぱいできて、いい水が流れて、いい植物プランクトンがうんと増えることが、これからは一番大事なのではないかと思います。
青森市は毎年1万本、ブナの植林をやっています。市民が8割参加しています。陸奥湾振興組合から2千本いただきましたし、今度は漁業者の皆さんも一緒になってやろうではないですか。そのことを最後に申し上げたかったのです。
(橋本) ぜひ参加していただきたいと思います。
福田さん、先程の半成貝の件で、大きな貝もどんどん出しているということにつきまして、一言お伺いしたいと思います。
(福田) 私は成貝づくりを、水揚げの大体2/3近くやっています。東田沢でも、どこの地区でもそういう人は100人中5〜6人です。成貝が半分を超えている人はもっと少ないかもしれません。
結局、お金にならないということが第一の原因です。昔は、成貝と言えば350〜400円しましたが、今は240〜250円台です。
今の小さいミニ貝は130〜140円です。今年作れば、もう来年は売れるわけです。手入れもいらないし、死ぬ心配もありません。つまり、労力をかけて、手間ひまをかけて、その貝を作る必要がないということです。
また、陸奥湾の人がだんだん老齢化していっています。そうしますと、危険を冒して、手間ひまかけて、3年近くもかけて、成貝を作る人は誰もいません。私は意地っぱりで、プライドもあって、水揚げが下がりながらも成貝を作っています。今、東田沢では数人しか作っていません。しかし、後潟の人など、水揚げ金額を多くあげる人は大体成貝を作っています。
なぜ青森近辺、後潟近辺がそういう貝に適当かといいますと、冬の温度が平内の方よりも3℃か4℃くらい高いはずです。ですから、冬も成長が止まらないわけです。私たちのところは冬は休眠状態に入ってしまうので、ひとまわり小さい貝しかできません。