(橋本) 大変興味深いお話でした。やはり過度の経済性の追究は生態系を狂わすという、色々な事例をお話しいただきました。
それでは、後半は会場の皆様からいただいた質問票にもとづいて進めていきたいと思います。
≪質問票1] → 佐々木≫
(1) 陸奥湾の環境ホルモンと重金属の測定はしているのか。測定値を教えてほしい。
(2) それらの環境負荷を減らすために、何か特別な技術を利用しているか。
(3) ホタテの貝殻、ウロを資源リサイクルとしてどのように利用しているのか。
(佐々木) 大変難しい質問をいただきました。
陸奥湾自体の環境ホルモンと重金属の測定はしていません。これはどういう形でおやりになっているかということもありますが、今日は県の水産の方もおいでですので、もしおわかりであればそちらの方からもお願いしたいと思います。青森市としての測定というお尋ねだとすれば、それはしていません。どこでこれをどうしたらいいものか、今後の大きな問題だと思います。
それから、ウロ、貝の問題ですが、青森市が行政としてしているかと問われますと、それはしていません。要するに、これは漁業水産物の産業廃棄物いう分類になりますので、生産者、発生者の責任でおやりになるというのが原則です。
ただ、先程お話にありましたように、貝をどうやったら産業化できるか、あるいはウロを最近流行りの健康用に開発できないかという問題ですと、これは行政と言わず、民間と言わず、みんなで取り組んで、何かいい方法があれば見つけ出して産業にするということは大変大事だろうと思います。
一例をあげますと、ある地元の大手建設会社の会長さんが一念発起して、主として平内町のホタテガイだと思いますが、これを集めてきてホタテタイルを作りました。これは非常に透水性があり、見栄えもいいということで、かなりの投資をして生産をしました。我々も一生懸命公共用の歩道や公園の中など、色々と使わせていただきました。また、函館にまで宣伝をしたり、色々なことをやったのですが、結果として事業として成り立たず、撤退を余儀なくされました。力のある方ですから、会社がまずくなるほどのことではなく、自己整理をされています。
このように、アイディアとしては思いつきであっても、それを事業化して産業として成り立たせねばなりません。県民もしくは国民的な理解で、「そういうものがあったら、みんなで使おうよ」「使って、成功してもらおうよ」という循環がなければいけません。製品ができても、それが流通しないと、どんなにいいアイディアも、いい製品も成功しません。これは一行政だけでもどうにもならないし、一民間だけでもどうにもならないということです。
青森市としては、ものづくり産業振興計画を策定し、モデル的に「ベンチャーでもいいですから、チャレンジしたい人を募集します」ということで、民間の審査員も入れてやりました。それに対しては、年間2千万円ずつ、3年間無利子の融資を保証する、最高額で年間2千万円の補助金を出すということで、我と思わん者は出てくださいということをやりましたところ、相当件数のチャレンジャーが出てきました。それを数件に絞り、事業の実施に入るところです。
これは水産廃棄物だけでなく何でもいいのですが、これがひとつのサクセスストーリーになって産業化できるといいな、ということで支援を始めました。作ったけれど売れなくてダメになるということもあります。作る過程での専門の相談、できた後のマーケティング、そこまで一緒になってお手伝いをしながらやろうではないかとスタートして、今年度は盛んに事業化の作業をしています。
これからは、このように行政で支援できる部分はできるだけ支援をし、知恵を集めてシステムを作ります。それにチャレンジする人がどんどん出てきてほしいと思います。このようなタイアップが必要ではないかと思っています。