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市が何々をしてくれるということももちろんあるでしょうが、市民活動がどのように行政と寄り添うことができるのか、あるいは行政に対してリードしていけるのかということも含めて、市民運動のひとつの課題だと思っています。

私はもうひとつ団体の代表をしているのですが、造道中学校PTA会長をしています。PTA活動というのは、本当に地域を背負います。そういう責任の重さにつぶれそうになるときがあります。

造道中学校は、大変伝統のある学校です。先輩たちが色々と作ってきた伝統を、また後輩が引き継ぐという伝統があります。

しかし、どこの中学校でもそうですが、十数年に1回、必ず荒れます。「絶対的に何も問題がなく百年過ぎました」という学校はありません。十数年に1回、必ず何かの波が押し寄せてきて荒れます。造道中学校も去年、一昨年とその波がありました。今年は何とか少し落ち着いてきています。

地域が荒れるから学校が荒れるということもあるのでしょうが、学校が荒れると地域にごみがあふれます。本当にこれは不思議なことです。「地域にごみが落ちている学校は荒れている」と逆に言い換えてもいいぐらいです。それぐらい地域と学校の状況は比例関係にあるような気がします。

中学校の教科書には、生態系の循環について、「海だけではきれいにならない、山との関係、陸域地域との関係がある」と載っています。それは中3の英語の教科書にもばっちり載っています。

それから、県内で一斉にやる業者テストでも、英語の長文問題で、環境問題、海の問題は山との関係、リサイクルしていかないと地球は守っていけない、地球市民としてそれは基本的なモラルなのだ、ということ出てきます。

ところが、実際の学校の現場では、地球市民としての教育については「学力と関係がないから一切やらない、それは家庭の問題だ」と切り離されているのが現実です。学校で教材となっているものと現場の教師との間にズレがあるのだろうな、と思います。そして、やはり家庭の親との間にもズレがあるのだろうな、と思います。そういったズレをどのように埋めていくのか。これもPTAの大きな課題のひとつだと思います。

ごみの問題や環境の問題というのは、本当に市民を作っていく、子どもたちに教育しなければいけない基本的な課題だと思います。特に青森市には陸奥湾に面している中学校がたくさんあります。造道中学校もそうで、何mか行くともう陸奥湾です。そういった環境にありながらも、陸奥湾に関して教えられていることは、たぶん皆無だろうと思います。もちろんごみの問題について、環境の問題について教えられていることも皆無だろうと思っています。そういった中でPTAがどのような役割を果たしていけるのか。これもPTAの課題のひとつだと思っています。

青森市ではこれから分別収集が始まるので、早速今度の学校祭でデモンストレーションをするつもりです。来月は研修委員会で、青森市から行政の人を呼んで、環境問題の学習会を開きます。市の方に伺いましたら、「ずいぶん増えてきたが、今年行われる学校は市内でまだ3校だ」ということです。ですから、そういう意味で、PTA活動の可能性はまだあるだろうと思っています。

造道中学校だけではなく、高校でも色々な動きがあります。私は青森高校PTAの役員もしていますが、百周年を記念しまして、今年はブナの植林をしました。

色々な学校で色々な動きがあるということ、それをまた我々がどのように形作っていかなければいけないかということを課題としながら、今日は本当に勉強させていただいたと思っています。

 

(橋本) 家庭と学校と地域の連携で運動の輪を大きく広げていただきたいと思います。

先程のお話でも「陸奥湾は今はきれいだ」ということでしたが、このままではだんだん汚染が進んでいくと思われます。陸奥湾はいいのですが、東京湾、伊勢湾などはもう死の海です。もう死に体寸前で、ヘドロの海で、江戸前の魚はもう食べられないくらい、非常に汚染が進んでいます。

 

 

 

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