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この3つの選択肢の中で、「家に帰って陸奥湾のために何かしよう」と思った方はいらっしゃらないと思います。といいますのは、「家の中で」ということは、やはり女の仕事だと思っていらっしゃると思います。

例えば、生活排水に関していろいろな問題が起きていて、それを解決するための運動が広がらないといったとき、それは女のせいではありません。人口の半分はいらっしゃる男性の皆さんが、知らんぷりなさっているから広まらない、ということもあるわけです。

人口の半分を占める男性の皆さんが、どういう動きをするかということが、家庭の生活排水に大きな影響を与えることができるのだ、ということを今日は知っていただきたいと思います。家に帰ったら、妻や、そのようなことを家庭の中で担当していらっしゃる方(担当は自分だという方もいらっしゃるかと思いますので)と、ぜひ、そのような話し合いをしていただきたいと思います。

家庭の排水は、本当に大きな公害の原因になっているということを、今日あらためて感じていただきたいと思います。

基本的には台所から。システムキッチンには生ごみをためる直径10cm以上の槽があります。絶対に直接そこに生ごみをどんどん捨てて、そこから水を流してはいけません。せめてそこにきちんとろ過するフィルターを付けて流してほしいのです。

本来、生ゴミは絶対そういうところに入れてはいけないものです。新聞紙を1枚用意すれば、むいた皮でも、魚のウロなどでも、水を汚さずに、乾いたままの状態で処理できます。何も装置がなければそこからゴミ箱に行きますが、基本的に今は家庭の中で1つ装置を蓄える時代だと思います。

ですから、青森市でもコンポストに対して支援するお金を払って、市民に使ってもらおうとしています。しかし、もう青森市の人たちも気づいていますが、コンポストはダメなのです。青森市では冬が長すぎますから、コンポストでは処理しきれないのです。冬の期間は凍ってしまって、何の働きもしない状態に陥ってしまいます。

では、どうするのか? 電気にするのか? 今、家庭に1台電気の生ゴミ処理機という感じですが、電気だと、今度は環境汚染の2次被害のようなことが起きます。電気を作り出すために地球をいじめるわけですから、それはある1つの方法ではありますが、最善の方法ではないということです。

そうしますと、バイオテクノロジーを使ったバクテリアなどを使って水の状態にして肥料にするか、土の状態にして肥料にするか。ごみをリサイクルする方法を家庭の中でもいろいろ考え、取り組むべき時代だろうと思います。

話が前後しますが、我々「男女共同参画社会づくりをすすめる会」の仲間には、そういう活動に取り組んでいる人たちがたくさんいます。しかし、それがなかなかメジャーな活動になっていかないのが最大の悩みです。

男女共同参画社会づくりをすすめる会では、青森市民の意識調査をし、結果をまとめているところです。男女共同参画についての意識調査なのですが、市民がどのような社会活動をしているか、どのような目的で活動しているか、調査しました。

社会活動の項目は色々ありますが、消費・環境についての市民運動に参加しているとか、ごみ拾いや陸奥湾をきれいにしようというボランティア活動に参加しているとか、そういった人たちに、「なぜ、あなたはその活動に参加されているのですか?」と聞いてみました。すると、他の追随を許さない圧倒的多数で「地域社会をよくしたい」という答えがかえってきました。自分の余暇を有意義に過ごしたいとか、自分のために何かをしたいということではありません。地域社会をよくしたいということが、圧倒的第1位の理由なのです。

青森市は一生懸命下水道整備を進めていますし、環境についても色々なプランを作って、「青い森」という言葉通りの住みやすい、いつまでも住みつづけたい街にしたい、と全力を挙げています。

「住みよい地域社会をつくりたい」という市民運動と市の行政がどのように力を合わせていけるのか。これが、これからの課題になってくるだろうと思っています。

 

 

 

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