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お母さん方が子どもを連れてきますので、子どもにもわかりやすくするようにパネルを使って、森と海のつながり、そして、上流に住む人が汚したものを流すと海にこういう関係がある、ということを教えました。このように、いろいろな面で催し物をして、宣伝活動をしています。

そして、各婦人部とも提携して木を植えたりしています。

汚染については、陸奥湾クリーンアップ作戦も今は全県一体となって行っています。平内町では漁師自らが汚染を防ぐために、船のサイドに網袋を吊して、缶のポイ捨てを防ぐ努力をしています。

こんなきれいな陸奥湾を、もし中央の方に持っていったなら、十年も経たない内に死の海になると思います。こういう環境につくってくれた先祖に本当に申し訳ありません。この「青森県」という名前、今このように環境問題がさけばれている中で「青い森の県」と先人たちが付けてくれたこの名前は、私はすばらしいと思います。

この青い森と海のつながりを後世に残すためには、県民、市民の皆さんに「汚い物を流さないでください」とお願いする前に、まず一番海を酷使している我々漁業者が、まずホタテ養殖の資材から出たものをそのまま流さないことです。

「これは自然のもので、自然に返してもいい」と言う人もいますが、仮に、いくらいいものでも多くなれば害が出ると思います。漁業者自らがこういうことをしていることを、県民・市民の皆さんにアピールしながら、この海を守っていく必要があると思います。

そのためにまず、湾内で一番ホタテの生産量がある平内町では、かごを洗浄して出たごみのほとんどを一か所に集めて焼却しています。これを徐々に各市町村に広げていったら、ますますいいのではないかと思います。

先程、下水処理の問題も出ました。平内町ではもうすでに一部で整備が終わった地域もあります。5か年計画でやっています。今年は東田沢の地区でもやっています。これが全湾に進んでいけば、陸奥湾を汚染する要因がまずなくなると思います。

青森市では雪をそのまま捨てないでろ過する、湾内全体がきれいな水を海に流す、そして山には木を植えていく、この3点セットを守っていくそうですが、それができれば、後世に残すようなすばらしい湾ができると思います。

私が今考えていることは、「川では四万十川」、「湾では陸奥湾」、これが国の何かに制定されないものかな、と考えています。この辺は、市長さんの方の分野ですので、頑張っていただきたいと思います。

それから、これも市長さんにお願いです。

市長さんはいろいろな工事の発注者になっていると思います。どんな小さな川でも山の方には側溝が通っています。いくらお金がかかっても、小さい川だからといって3か所を1つにして海に流すのではなく、小さい川、チョロチョロ川でも、あったところに流すような工事をしていただければ、陸奥湾の生態を崩さず、この現状を守っていけるのではないかと思っています。

私の考えていることは以上です。私は素人ですので、質問は専門家の方にしてください。

 

(橋本) 今、福田さんから非常に力強いお言葉がありました。漁業者自らが浄化作戦に取り組んでおられるとのことで、この運動をずっと継続してもらいたいと願わざるをえません。

とはいいましても、やはり生活排水は流れています。地球表面の7割を海が占めており、「海は生命のゆりかごである」と言われます。もしこれがなくなると人類は死滅するということです。海というものは大事だとつくづく感じます。これを汚すことは、天に唾をする行為というわけです。

今度は三上さんから、主婦の立場から陸奥湾の浄化をどのようにやっていったらいいのか、例えば、合成洗剤の追放、皿の油をふいてから洗うなど、環境負荷を減らす問題、あるいは子どものしつけについてお話しいただきたいと思います。

 

 

 

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