1997年に地球温暖化防止京都会議がありましたが、この貝殻がCO2削減に役立つと考えられています。日本の削減目標は-6%ですが、この数字は膨大な数で、約200億トンの6%は、約13億トンです。この想像できない量の二酸化炭素のガスを削減しなくてはなりません。
海水は、空気中から二酸化炭素をかなり吸収します。貝類は、二酸化炭素を海水中にあるカルシウムと結びつけて、炭酸カルシウムを作っています。このように、ホタテ、カキ、ムラサキ貝など、貝殻を作る貝類は二酸化炭素を吸収・同化して、ホタテなどはこれを陸上に戻しています。
それで、貝類が二酸化炭素を削減しているのではないか、と今注目されつつあるのですが、まだ科学的に細かいところは証明されていません。今、研究しようとしています。日本も必死で、6%を達成するために、貝類の研究をしはじめました。
ホタテが環境に対してかなり貢献している話をしてきましたが、ホタテ自体が今、陸奥湾の環境にかなり負荷をかけてきている状況が見られます。
図2.1.13は、養殖枚数と身入りの関係です。昭和60年代には身入りは40%くらいでしたが、だんだん下がり、今は36%くらいです。ホタテ生産量を伸ばすほど、身入りが落ちてきています。
陸奥湾のように閉鎖的な湾では作られる餌の量は限られるので、その中でホタテの数だけ増やしていけば、こういう結果になるということです。
写真は極端ですが、昔はこのくらいあった貝柱が今ではこんなに小さくなってしまっている、という感じで、身入りが落ちてくる傾向があります。
これからホタテ養殖を持続的に発展させるためにも、陸奥湾の生態系を崩すことなく、うまく利用していかないと、ホタテ産業もなかなか持続的に生産が伸びていかないということになります。