ホタテの成長は、プランクトンの生産によって決められてきます。
図2.1.10は、軟体部指数、貝柱指数の周年変化です。貝全体に対する中身の割合を示しています。軟体というのは、貝柱も軟らかい部分も全部入れた部分の割合です。平均すると35〜40くらいあります。貝柱は10〜20くらいあります。
ホタテの旬は、植物プランクトンが一番増える4〜7月、この時期に対応します。貝柱は4〜7月がピークです。この頃がホタテの一番おいしい時期です。この時期は栄養的にも、グリコのキャラメルで有名になったグリコーゲンの含有量が一番増えてきます。それから、甘みなどの素になるグリシン、タウリンなどのアミノ酸などもかなり増えてきます。この時期がホタテにとって栄養的にも、うま味も一番いい時期です。
軟体物自体は1月くらいから少しずつ増えてきます。1〜2月には卵ができます。ホタテのオスの卵は白で、メスは赤です。半月状に貝柱の周りにあるものがそうです。寒い時期にできますので、その重さが増えるだけで、貝柱自体は増えてきません。貝柱は大体4月から増えてきます。
しかし、毎年同じというわけではなく、プランクトンがいかに増えるか減るか、増える時期が早いか遅いかによってかなり違ってきます。でも、ホタテの旬は大体4〜7月だと覚えていただきたいと思います。
「陸奥湾の循環率」を、西田先生も引用していましたが、私も少し引用したいと思います。
陸奥湾の流れというのは、津軽暖流が西側から入ってきて、西側から入ってきたものが青森まで来ていったん北上します。それが脇野沢の方に向かうのですが、一部が東側に行って、また戻って出てくるというのが一般的な流れです。
その間に渦が巻きます。こういう渦の巻くところに動物プランクトンなどの生物が結構集まってきます。春先になりますと、ものすごいプランクトンの量になります。何万個というプランクトンがここに集まってきます。
西田先生も言われたように、陸奥湾自体は流れがかなり遅い傾向があります。西湾で1〜3か月、東湾では3〜4か月と、東湾の方は水たまりのようなもので、気象によってかなり影響されます。西湾は津軽暖流に影響されますが、こちらの方はその年の天候にかなり影響されます。