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図2.1.8 ホタテガイの生産機構

 

◆ ホタテ養殖と陸奥湾の環境

「中層では餌が豊富だ」と言いましたが、ホタテの餌は植物プランクトンです。植物プランクトンは大きさが5ミクロン(1mmの1/200)から200ミクロンと、かなり微細なものです。この植物プランクトンを直接食べます。

植物プランクトンを食べた動物プランクトンをイワシなどの魚が食べ、ハマチなどがさらにイワシなどを食べて生きています。この系列を1段踏むごとに生産量は1/10に落ちていきます。ホタテは植物プランクトンを直接食べるので、魚類と比べて生産効率がよく、生産が伸びてきています。

植物プランクトンの生産を制限するものは何かと言えば、植物ですので栄養、つまり窒素、リンの肥料が必要になります。太陽の光と二酸化炭素、そしてこの栄養塩で光合成を行って増えていきます。陸奥湾の場合、栄養塩のほとんどが海底から来ます。この栄養塩が来るか来ないかによって、この植物プランクトンの増える量が違ってきます。それによってホタテの成長も全然違ってきます。陸奥湾での植物プランクトンは、貝類、魚類の成長にもかなりの影響を与えています(図2.1.8)。

ホタテは植物プランクトンをどのように食べているかといいますと、魚類などは口で直接食べるわけですが、ホタテなどの貝類は貝柱の横にある茶色いビラビラしたエラを使って食べていきます。

 

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5〜200ミクロンの粒子を補足

図2.1.9 ホタテガイのエラ表面

 

 

 

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