行政とそこに住む人々が一体となって取り組むことを通じて、自分たちの海を自分たちで守るという、環境保全意識の醸成にもつながればと考えております。
◆ その他の取り組み:ブナ植林
「豊かな森が豊かな海を育てる。森は海の恋人」という言葉があります。森林は環境の保全、木材の供給や野生生物の生息地などの役割を果たすと同時に、森に降った雨は川を経て、ホタテガイなどの魚介類に不可欠な植物プランクトンや海草を育てる、栄養分を安定的に供給するなど、水産資源にとっても重要な役割を果たしています。
青森市の主たる水道の水源は、八甲田山に降り積もった雪が、長年かかって地中に浸透し、それが伏流水となって、八甲田山麓から湧いてくるものです。この水道水が、昭和59年の厚生省外郭の利き水研究会で、全国の水道水を集めて品評会をやったら、なんと「特に優れておいしい」という最高の得点を得ました。
これをおいしいままで次の世代に引き継いでいくために、平成4年からこの流域にブナの植林を始めたところ、毎年平均1万本のブナの植林ができて、今年でちょうど10万本になるところです。しかもその8割は市民のボランティアによるものです。こんなにうれしいことはございません。
平成8年、この会場で開催された「豊かな海づくり大会」に私も呼ばれて参りました。そのときに、先般亡くなった陸奥湾漁業振興会の三国さんから「ブナの植林運動に参加いたします」ということで、2千本のブナの目録をいただきました。その後、漁業者の皆さんが現場に行って、植林をしていただいたこともございました。
そういうことで、「陸奥湾の保全再生プラン」のご紹介をさせていただきました。
どうぞ今日のシンポジウムが、これらのことについても有意義なシンポジウムになり、陸奥湾の再生・保全が図られ、持続的な漁業ができますように。また、持続的な楽しみを地域住民に与えていただけますように。そういう成果につながることを心から期待して、ご挨拶といたします。