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(5) 演題:「アジアの海賊〜現代海賊事情〜」

講師:ジャーナリスト 門田修氏

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司会:本日の講師の門田修さんは、ジャーナリストとして東南アジアを中心に活躍されており、海賊に直接取材をした唯一の日本人です。本日は、現在最も被害の多い東南アジアの海賊の現状についてお話ししていただきます。それではよろしくお願いします。

門田:ただいまご紹介いただきました門田と申します。今日はタイトルが「現代海賊事情」となっています。前回いらした方は、おそらく日本財団の山田さんから現在の海賊事情についていろいろお聞きになったことと思いますが、それとは少し違いまして、たしかに海賊をしている連中の背景をお話ししたいと思います。いわゆる伝統的海賊といいますか、アジアでは古くから海賊行為が行われており、それについてお話しします。

世界では昔から海賊事件が起きており、この二、三年特に数が増えて騒がれています。その海賊事件の3分の2近くが東南アジアの海、特にインドネシアで起きていますが、どうして東南アジアでそんなに海賊が多いのか。その背景ということで、少し歴史的なことにも触れつつお話ししたいと思います。

まず東南アジアでどうしてこれだけ多いかということについて、東南アジアの海賊の特徴をいくつか挙げて考えてみたのですが、最初に言えることは、東南アジアでは海賊が生業、つまり一つの職業としてあったということです。もう一つは正業として、王様やその地方で権力を持っていた人たち自体が海賊にかかわっていたという状況があります。海賊そのものが恥ずべき行為、あるいは犯罪ではなく、一つの正しい伝統ある職業として力を誇示できるものと認められられていたわけです。ですから、一概に海賊が悪いとは思っていなかったということです。

まず、ヨーロッパ人が最初にアジアの海に来たころの状況からお話しするほうがいいのかなと思います。もちろん東南アジアの歴史について詳しい方に、こういうことをお話しするのは間の抜けたことかもしれませんが…

ヨーロッパ人が東南アジアの海に初めて現れたのは、当然船団で来たわけですが、ヨーロッパの大航海時代の先駆者であったポルトガル人が、マラッカを攻め落としたときです。

 

 

 

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