“アロンドラ・レインボー号”の最終的な積み荷は見つかりました。でもこの仲間がわからない。非常に巧妙にやりとりされていて実態が見えなくなってしまう。“アロンドラ・レインボー号”の積み荷を最終的に持っていった人間は、途中経過がわからない仕組みになっているので、善意の第三者として積み荷を買い取ったことを認められてしまいました。組織的な犯罪で末端まではいきません。これは密輸ルートと同じように先が見えない巧妙な仕組みになっています。
質問:参考資料1に表が四つあり、一番下の表で乗員に対する危害の表がありますが、ここで危害の内容として身柄の拘束などいろいろありますが、暴行と身柄の拘束の2件についてもう少し詳しく知りたいのですが。
山田:身柄の拘束というのは要は部屋に閉じこめられたなど、とにかく行動を制約されたことを身柄の拘束としています。その上に何らか具体的な指示を受けたものを脅す、脅迫としております。暴行傷害の内容に関しては具体的な数字までは公表されておりませんので、具体的な分け方はわかりません。ただ暴行というのは素手でやられた場合を入れています。そして傷害は刃物なり拳銃なりでやられたものを入れています。
質問:ありがとうございました。
司会:ほかにご質問のある方はいらっしゃいますか。
質問:“テンユウ号”の最後の名前、“スカーレッド”の次に変わった名前を聞きそびれてしまいましたのですが。
山田:“テンユウ”の最後は“サンエイ1”です。
質者:それと日本の船会社が、中国やインドネシアなどいろいろな国の船員さんを雇って、外国からいろいろなものを日本に運んできていると思います。顔を見ても海賊とそういう方の区別が私たちにはわかりかねるのですが、海賊とつながっているということは絶対にありえないのでしょうか。
山田:はっきりとつながっていないとは言い切れません。ただ船員さんたちは船員の資格を持って乗っています。便宜置籍船制度をご存知かと思いますが、日本の国籍を持っている船は百五十数隻しかありません。それ以外の日本に関係する船は、ほとんどが外国船で外国の法律のもとに動いていて、必ずしも日本の政府、日本人が考えるほど安全な運行体制を取っているとは思えません。当初、“テンユウ号”事件が起きたときも手引きするやつがいて、やっているのではないかということは想像されました。