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(4) 「世界の海賊被害の現状と対策」

日本財団 海洋船舶部 山田吉彦氏

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司会:本日の講師の山田吉彦さんは、日本財団の海洋船舶部で海賊による被害とその対策についての調査研究をされている方です。今回は現在マラッカ海峡に出没する海賊による被害の実態についてお話しいただくことになっています。それではよろしくお願いします。

山田:ご紹介いただきました日本財団の山田でございます。今日は世界の海賊被害の現状と対策、特にマラッカ・シンガポール海峡を中心とした海賊被害の実態についてお話ししたいと思います。

今日は朝早くからテレビでオリンピックのマラソン中継をご覧になった方も多いかと思いますが、私も朝7時からテレビにくぎづけになって9時半くらいまでずっと見ておりました。高橋選手の金メダルは非常にうれしいニュースでした。海外から日本に向けられるニュース、特に日本人関係のものに対しては、皆さんも注目して聞かれることが多いと思います。

昨年の10月に一つのニュースがありました。それはマラッカ海峡沿岸のインドネシアのクアラタンジュンという港を出発した貨物船が、日本の三池港に向かっている途中行方不明になり、ハイジャックされたのではないかというものでした。日本人の船長と機関長が乗っていて、海賊被害、特にハイジャック事件に遭う日本人は初めてだったということもあり非常に注目されました。

この1999年10月に起こった“アロンドラ・レインボー号”事件を契機として海賊問題に興味を持たれた方も多いのではないかと思います。正確に言うとハイジャックですが、日本ではシージャックという言葉が使われていますので、これから私もシージャックという言い方をさせていただきます。このシージャック事件で初めて日本人の被害者が出たということもあって、海賊問題が非常に注目されるようになりました。

不幸中の幸いでしたが、この2人の日本人の方はともに無事に保護されて帰国しています。海賊などというものは昔物語で空想の世界の話のように思っておられた方も多いかと思いますが、ここ数年来アジアの海域において海賊被害は非常に大きな問題になっています。今日はそのへんについてお話しさせていただきたいと思います。

 

 

 

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