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2. ログとノットについて

(1) 速力を知るには

船の速力や航程を計測する装置のことを「ログ(測定儀)」といいます。ログとは木片の意味で昔、海面に木片を投入しそれが船側を通過する時間を計って速力や航程を計算したときの名残です。ログには様々な種類があり、原始的なものでは上記の方式そのものであるダッチマンズログや木片に紐(ひも)を付けて海面に流し、一定時間に流れ出た紐の長さで計測するハンドログがあります。その他の方式として、水流で回る回転子を曳航し、その回転数で速力を知るパテントログ、最近では電磁石で磁界(じかい)を造り、そこを通る水流の速さに比例して起こる誘起(ゆうき)電圧から速力を知る電磁ログがあります。しかし、いずれも計測するのは対水速力です。相手が海流のある海では「時速いくらで何時間走ったから今どのあたり」といった計算には当然狂いが生じます。最新式のドップラーログは、海底に向けて発射した超音波の反射波の周波数変化から速力を割り出すため正確な対地速力を計ることができますが、水深数百メートルまでが限界となっています。

 

ハンドログと砂時計

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パテントログ

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ハンドログの使い方

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(2)ノット

ノットは船の速力を表す単位で、15世紀にトンよりも少し遅れて確立しました。14.4メートル間隔で結び目(結び目のことを英語でノットという)を取り付けたロープの先に海面に浮かぶ扇を付けて、船が進むに従ってどんどんロープを伸ばしていき、「一定の時間で何個の結び目が海に出たか」で船の速力を測ろうとしたことがノットの由来です。ちなみに、ノットを測るこの原始的な道具はハンドログと呼ばれ、今日においても航海練習などで使用されています。計測の際の一定の時間とは、砂時計の砂が全部落ちるまでの28秒です。1ノットは28秒間に結び目1つ分進む速さでこれを時速に換算すると1,852メートルとなります。1,852メートル=1海里で北緯48度の子午線の1分の長さである6,080フィートが基準となっています。

 

 

 

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