―結びに代えて―
小山止敬氏の「心学への道」を読んで
ロバート・N・ベラー
小山先生は、石田梅岩および梅岩が創設した心学と今日の世界との関連性の主要な問題点について述べられました。また、小山先生は石田梅岩の思想と運動を分類するための用語についても論じられました。心学には心理学、宗教、哲学、倫理学などの用語を当てはめることができるでしょう。しかし、心学という言葉の文字通りの意味、すなわち、こころを学ぶということにとどめておくのが最良なのかもしれません。心学には哲学、宗教、道徳の要素がすべて関連をもっていますが、もしどうしても心学を分類しなければならないとすれば、小山先生が最も正確な意味で「倫理」を選んだのは正しいと思われます。小山先生が最後の段落で提案されているように、心学とは石田梅岩と心学が問題にした日常生活の生きた倫理であり、そこにこそ私たちは石田梅岩と心学の現代的意義を見つけられるのです。