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商人は不定なる渡世をする者故、善悪右に云が如し。然れば商人の潰(つぶ)るゝことをば嘗(かつ)て構間敷(かもうまじき)也。是又治道の大割の心得也と可知」

と商人をことさらに蔑視しました。また『海国兵談』を著した林子平が『上書』のなかで、

「町人と申候は只諸人の禄を吸取候計(ばかり)にて外に益なき者に御座候。実に無用の穀(ごく)つぶしに有之侯」

と町人を「無用の穀つぶし」とみなしたりしていた例などとくらべれば、梅岩の思想がいかに開明的であり、先駆的であったかがわかります。

 

ベラー名誉教授の問題提起

「心学と二十一世紀の日本」と題されたロバート・N・ベラー、カリフォルニア大学バークレー校名誉教授の講演は、なかみのあるしかも重要な問題点をみごとに指摘された卓言にみちていました。ベラー先生の真摯なお人柄のにじみでた名講演に、聴講された多くの方々も深い感銘をうけられたにちがいありません。

 

 

 

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