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そして、経済第一主義から脱皮する手がかりが、私たちの伝統の中に存在することを示してくださいました。私たちは、もう一度伝統の叡智に立ち返り、組織であっても個人であっても、よき心なくしてよき社会はありえないことに気づくべきではないでしょうか。

 

これからの心学

最後に、若い人たちに心学をどう伝えていくかについて触れてみたいと思います。私は以前、十年の間、京都と神戸の大学で、非常勤講師として「近代経営学」という講義を担当したことがありました。内容は二十一世紀に向けての経営についてということですが、ほとんどを石田梅岩を中心にして語ることにしました。一回一時間半、年に三コマだけですが、話しているうちに心学に興味をもつ学生が少しずつ増えてくるのを実感しました。講義の終わりに「大変面白いお話を聞かせていただき、ためになりました」「私たちの後輩のためにも、ぜひ来年も講義を続けてください」といった感想が寄せられるからです。

 

 

 

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