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独占禁止法に基づく措置がとられることもありますが、今の経済社会では、公平な競争を維持し、消費者にとって不利益な寡占状態を根絶するにはほど遠い感があります。

私は、現代の経済社会において企業家自身が正しい倫理観をもつことなしに、この問題を乗り越えることはできないと考えます。経営者が単に己の欲望のままに自由に利益追求を続けていった結果、「見えざる手」が機能してうまくいくだろうという考え方はもはや通用しません。やはり石田梅岩が言ったように、商売というものは「先も立ち、我も立つもの」で、相手があってこそ成り立つものであり、相手の利益を抜きにして考えることはできないということを、もう一度自覚する必要があります。商売の中に厳しい倫理観・商道徳があってはじめて、正しい自由経済の姿があるのです。一見、古い考え方のように見えるかもしれませんが、決してそうではありません。これこそが今の経済に必要なことです。われわれはこのことを、声を大きくして伝えていかなければならないと思います。

 

 

 

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