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産業的能力が大きいからといって、先進国は使用可能な資源を独占的に、際限なく消費してしまうような身勝手な行為に走ってはならない。先進国は、その技術と知識を用いて発展途上国の近代化を支援し、そして、自国はどのようにすれば資源消費を抑え、環境負荷を低減しつつ、豊かな社会を維持していくことができるかを模索すべきである。

途上国により多くの経済資源を割り当て、先進国は抑制をというのが、国際社会におけるこれからの行動基準でなければならない。私たちは、この地球という限られた空間の中で共生しているのである。(『新しい日本 新しい経営』より)

 

今、心学から学ぶこと

こうした文章を書く稲盛氏を見ていると、石田梅岩のようなリーダーを求める人々の力になろうと努めていることがわかります。しかし稲盛氏は梅岩の領域を超えて、企業や国家などにも当てはまる現代の個人的、社会的な義務の倫理にまで発展させています。ジョージ・ソロス、ヴァーツラフ・ハヴェルなどの経済や政治の世界中のリーダーたちと声を揃え、稲盛氏はより高次な倫理観を人々に呼びかけています。

 

 

 

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