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宗教に関する部分も含め、パットナムの研究成果のいくつかを要約してみようと思います。そしてそれらの結果とアメリカ社会、及びアメリカに影響を受けた他国の社会(現在では世界中の国々のほとんどがアメリカの影響を受けていると言っても過言ではないですが)との関係を見てみましょう。

アメリカでの選挙投票率が下がっていることは周知の事実ですが、誰が投票権をもっているかに注意を払ってみると、投票率の統計は単純ではないことがわかります。投票権をもち実際に投票をした十九世紀の人々の割合を見てみますと、その率は非常に高く、九〇パーセントに近いものです。しかし一方で女性と黒人には選挙権が与えられていなかったことも事実です。一九六〇年代前半以降、南部での投票率は上がりましたが、これは公民権運動が成功を収めた結果です。にもかかわらず一九六〇年からの四十年間で、大統領選挙における全国での投票率は七〇パーセント強から五〇パーセント強へと落ちています(二〇〇〇年の選挙もそれ以下でした)。さらに投票以外の政治的な活動への関与―例えば集会への参加や政党活動のサポートなど―も同時期では減少しています。

 

 

 

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