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日本の場合には特定の宗教に偏ってはならないと同時に、戦後、宗教と聞けばたちまち拒否反応が起こってきたことは、われわれにとって不幸なことだったと思います。宗教について、または古くから私たちの先人が言ってきた人間がもつべき道徳、倫理とはどういうものだったのかということぐらいは、教育の初期段階で教えるべきだったと思います。私は、今からでも遅くはない、すぐにやるべきことではないかと感じています。

 

小谷 私は一言で言えば民主主義の正しい把握、正しい理解が遅すぎたということを非常に強く感じるわけです。戦後、特に大きかったのが右と左の対立です。これは対立のための対立である部分が非常に多かった。理念のない対立であった。お互いに理念を闘わせて、そして正しい道を模索していくのならいいのですが、それがなされなかった。また、先ほども少し申しましたが、傲慢さというものがどこかに顔を出してきて、謙虚さと誠実さこそ心学のもとであると思いますが、それが失われていったということです。

話が少し横道へそれるのですが、十年ほど前にユナイテッド・テクノロジー・コーポレーションから出版された『アメリカの心』という本があります。

 

 

 

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