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それから三番目に教育財団をつくりました。ですからお金の大半は公的な目的のために使われたわけで、これはまさに梅岩の考え方です。

自分の立派な家を建てて豪華な生活をするのではなく、自分としてはどんな貢献ができるのか、また、自分に対して忠誠心を示してくれた人に何を与えることができるのか、どうやったらお返しができるのかと思ったわけです。アメリカは個人主義だと言いますが、しかし他人のことを考えている人たち、そしてまた長く勤続してくれた人たちにお返ししたいと思っている人がいるということです。こうした例があちこちにあるというわけではありませんが、少しはあるということです。

 

上田 荻生徂徠が日本の儒学を完成させたというのは、丸山真男さんの徂徠を中心とした研究によってもわかりますが、しかし、それでも徂徠の町人観には問題があると私は思います。

そこで今、ベラー先生から、アメリカの個人主義には非常に問題がある。しかしマサチューセッツ州のあるフロアワックスの会社のあり方には、梅岩が目指したような精神が輝く。すべてが極端な個人主義に陥っているわけではないというお話がありましたので、これもなかなか難しい問題ですが、次の質問にお答えいただけたらありがたいと思います。先ほど故小渕首相の諮問懇談会の答申について先生がおっしゃったこととも関連すると思います。

 

 

 

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