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ところが江戸末期に入ると、徳川幕府は心学をある程度庇護しはじめます。江戸時代末期というのは農民の反乱がどんどん増えて、そして社会的にも非常に動乱のあった時代でした。ところが、心学があまりにも幕府と関係が近くなってしまったので、明治維新の際に幕府寄りであるということで心学に対する反動が出てきたというわけです。ですから心学にとって、政府とあまり関係をもたずに内部からの独立した道徳的な運動として、どのようにして改革していくかということが大きな課題となったわけです。

一九三〇年代に、心学のリバイバルがあり、私が『徳川時代の宗教』の研究をしていた頃に、心学に関係する本や、またもともと心学について書かれていた本がどんどん発行され、出版されました。すなわち国粋主義的な感じで、また心学を復興させようという気運がその頃にあったようです。

 

 

 

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