権力との癒着が心学を衰えさせた
ベラー 非常に興味深い質問ですが、それにはたくさんの理由があると思います。昭和九年から石田梅岩が小学校の教育から消えていくということでしたが、非常に疑問なのは、二宮尊徳はずっと小学校の教育の中心であって、そして二宮尊徳の銅像は第二次大戦後まで小学校の校庭にあることです。ですから、なぜ梅岩だけを無視して二宮尊徳はずっと尊敬されたのか。これが私にとってはミステリーなのです。
心学に関しては、一つ問題があったということです。梅岩の場合はまったく一人で活動していてスポンサーもいませんでした。自分で運動を始めて、彼が非常に道徳的に立派な人物だったので、彼に感動した人たちがだんだんと弟子になったわけです。