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しかし当時期待された多くの可能性に挑みました。徳川幕府の政治制度は誰もが生まれた階級の中にとどまり、そして先祖代々の職業を継ぐという閉じられた階級制度を理想的なものとしていました。しかし、農村に生まれたにもかかわらず、梅岩は十一歳で京都の商家に奉公に行き、自分の所属階級を変えていったわけです。幕府の考えとは関係なく、当時の農民の子どもたちはこういうことをよくしたわけです。

ところが十五歳になると梅岩はこの仕事をやめて、故郷の亀岡の村に帰り、そこで八年間を過ごしました。なぜ彼がそうしたのかはわからないのですが、結果は、いわゆる通常の商人のキャリアを歩むにはマイナスでした。

 

 

 

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