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二人の自分史「生き生きて」

 

長く教職にあって共働きしていた夫妻が、それぞれの来し方を綴り、「二人の自分史」と題してこのほど自費出版した。

夫の田中正雄さんは丹波町、妻のトシエさんは亀岡市の出身。ともに教職にいた二人は縁あって結婚。亀岡市紺屋町で生活を営み、定年を迎えるまで職務を全うした。

本書では、二人の幼い頃からの生い立ちや結婚生活、教員生活、戦争体験など、夫妻の軌跡がそれぞれの筆によって、大正、昭和、平成の三つの時代にわたり生き生きと活写されている。

正雄さんは前書きに、次のように記している。

「この世を去って五十年も経過すれば、全く単なる石標に過ぎなくなって、自分の家庭においても、私がどんな人間であったか知られることもな<なってしまう。そこで自分史を書こう、そうすれば、子供や孫たちに、私という人間を知ってもらうことができる。」

そう思って、自分史を書くことを決意したのだという。正雄さんは惜しくも原稿を書き上げる前に七十九歳で亡くなる。本書は、遺品のなかに「自分史」の原稿を見つけたトシエさんが、途中でペンを置かざるを得なかった夫の遺志を引き継ぎ、新たに原稿を書き加えて完成させた。

全体が、「母の一言」「若き日」「教職」「戦争と市民生活」「新しし時代を迎えて」「趣味・旅行」「生き生きて」の七章からなる。いずれの章も生き生きしている。トシエさんはこの本を上梓したことにより、「人の勉強、心の勉強になった。特に、心の受け取り方についてよい勉強をさせてもらったと喜んでいる」と話す。

本書を読んだ読者からは、「活字が大きく、行間が十分にとってあるので読みやすい」「"二人の自分史"というのはユニークでよい」といった声が寄せられており、自分史の出版を考えている人には格好のサンプルともなろう。

なお、同著の編集から出版にいたる企画・制作の全工程は、小誌・タウン誌「丹の街」が担当した。

 

 

 

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