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亀岡市は、私が市長在職中の昭和六十三年に、近畿では初の「生涯学習都市宣言」をいたしました。そしてこの「ガレリアかめおか」をつくりました。これは単なる集会施設ではありません。その中心には、さきほど「梅岩フォーラム」が開催された『心学講舎』があります。これを核にして、梅岩先生の教えがさらに広まり、かつ、老若男女を問わず、すべての人の生涯学習の場として、フルに使ってほしいという願いがこめられています。同講舎には、亀岡ロータリークラブさんからご寄贈いただいた楠一木造りの素晴らしい梅岩像も安置されています。そして今日、その心学講舎で、第一回月次講話とも言うべき「梅岩フォーラム」が開かれました。これは梅岩先生の教えを伝承した催しでよかったと思います。特に、お母さん方がなさった大型紙芝居「勘平さんものがたり」は素晴らしかったと思います。

 

“人に優しく、魅力的な方だったんだなあ”

 

―つぎにお一人ずつ、梅岩先生に対して持っていらっしゃるイメージをご紹介ください。

大庭 私どものロータリークラブでは、“職業奉仕”ということを唱えております。職業を通じ、よりよい奉仕をしていこうという考え方です。これは、職業倫理観のレベルを高める努力にもつながります。また、梅岩先生の説かれるのと共通するところがあります。先生は、「商人は利を得なければならない。しかし過分の利をむさぼるのは罪である」と示されていますが、それはロータリーの精神とも合致します。

中村 私は不勉強でして、もし、梅岩先生のご生家近くの東別院小学校に勤務する機会がなかったら、梅岩先生に関しては、あの有名な“栗の実”の話ぐらいしか知らなかったと思います。東別院小学校には、校門を入るとすぐの所に、梅岩先生の胸像が立っています。着任して挨拶廻りをしますと、まず最初に言われたことが、「中村先生、梅岩先生のことをまず勉強してもらわんといけませんな!」ということでした。当時は毎年、墓前祭には、全校生徒がお参りをして、お話を聞くのが恒例でした。私はさっそく、子供たちを中心にして梅岩先生のことを学ぶ研究会をつくり、作文などを通じて、地元の偉人について学びあいました。

―東田さんはこの九月一日で丹波総局長に着任されたばかりだと伺います。墓前祭にお参りになってご感想はいかがですか。

東田 私は奈良の出身です。亀岡ははじめてです。私は本日、墓前祭に寄せていただいてまず思ったことは、自分が生まれ育った奈良の田舎とよく似ていることです。山があって、谷があって、田圃があって、素晴らしい本当の日本の田園風景があります。人間は環境に左右されるとも言いますが、梅岩先生の素晴らしいお人柄も、この丹波の自然と無関係ではないと思いました。

木戸 私は梅岩先生のビデオ『一ふるさと亀岡の偉人〜「石田梅岩ものがたり」あたりまえの心って?』の制作でいろいろと学ばせていただきました。その中で、印象的だったことを二、三あげます。弟子の中に一人の尼さんがいました。その尼さんがある時、釜から熱湯を直接、土の上に流して捨てているところを、梅岩先生がご覧になって、注意をされるシーンがあります。

 

 

 

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