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バーシェイは東京大学を卒業しバークレー校で学んでいる日本人の大学院生が「日本人の多くが日本が資本主義の国であることに気付いていない」と言ったことを例にとっています。政府の先導によって、また馬場が会社主義と呼んだものを通じて、日本は経済利益そのものが目的であるという強迫観念が引き起こす破壊的な結果から身を守ってきました。しかし今日の「グローバリゼーション」の圧力のもとで、日本を守ってきたすべてのシェルターの形が攻撃を受けています。ですから、私は他の選択肢があると言っているのです。

経済社会学者たちは、カール・ポランニーの説にならって、経済は「社会的構造を持つ」ものであり、これは社会状況の外に存在する自然の力ではないが、作用する特別な社会環境が必要だ、ということを長い間議論してきました。私が言おうとしているのは、日本は経済のための新しい社会環境を創造して、社会に貢献する経済を作りあげることができるユニークな立場にあるということです。また、世界中の素晴しい伝統、特に日本の伝統の中には、このプロジェクトの実現を可能にする広範囲な文化資産があるということを私は言いたいのです。これは非現実的なプロジェクトではありません。むしろ、結果にかまわずに限りない経済成長を目指すプロジェクトのほうが空想的な非現実的なものです。すでに指摘しましたが、こうした方向は、アメリカでも日本でも、社会と経済そして意義や誠実さの源の崩壊を招くことになるという研究結果が出ています。

私たちが現在抱えている問題の解決策として簡単に採用できるようなものは日本の伝統にも他のものにもないと思います。しかし、こうした伝統の中には、代案を生み出せるように私たちにインスピレーションを与えてくれるものが多くあると思っています。私はここである人物の生涯と偉業を例にあげたいと思います。今日、私たちはその人物に敬意を表わすためにここに集まりました。その人物こそ石田梅岩です。梅岩は商人であり、社会にとっての経済の価値を知っていました。

 

 

 

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