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ところが、日本のバブル経済は1980年代末に崩壊する結果となり、10年たった今でも回復の兆候はほんの少ししか見えません。これに反して今日アメリカはふたたび世界一の経済大国となっています。日本は非常に豊かな国であり、GNPもアメリカについで2番目であり、国民一人当たりにすればアメリカより上となっていることを忘れてはなりません。しかし、アメリカ人も日本人も高い経済成長が続くことを望み、この成長が少しでも止まれば挫折感を持ってしまいます。

この挫折感へのひとつの答えが、今年1月に前小渕首相が21世紀日本の構想報告書で述べたことです。アメリカの新聞によれば、この「21世紀日本の構想」懇談会は日本社会、特に教育分野での広い改革を推奨しています。懇談会のメンバーの山本正は次のように発言したと報告されています。「私たちは社会を基本的に新しい方向に向けることを真に主張します...(ゆえに)...私たちは基本的にこの社会の何かが間違っているという前提に立っています」この懇談会は「日本の活気を奪ってしまった」規則や調和への忠誠心を批判しています。

この報告書の中には英語をすべての日本人の「第二言語」にするということも推奨されていました。別の特性を持つ外国語の知識を過度に重視するのも日本とアメリカの似ている点です。インターネットによって、また英語が世界の数多くの地域で広く使われていることから、世界のコミュニケーションでアメリカ英語が基本言語となりつつあります。そのため、アメリカ人は「英語を話す人はどこにでもいるのだから、なぜ外国語を勉強する必要があるのだ」と考えがちです。これはアメリカ人の単なる怠慢さとして説明できるかもしれません。しかしここには他の理由があるのです。それは外国語に対する恐怖心です。この恐怖心から「イングリッシュ・オンリー(英語のみ)」運動が生まれ、多くの公の場所において英語以外の外国語の使用が禁止され、また公立学校においても二ケ国語の使用が禁じられました。

 

 

 

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