「日本国際フォーラム叢書」について
二一世紀を迎えるに当たり、新しい世界秩序の構築に向けて、いま日本の果たすべき役割が世界中から注目され、また期待されております。日本国内においても、国際的な貢任を担うというコンセンサスが次第に確立されつつありますが、積極的な政策や戦略はいまだ定まっておりません。
財団法人日本国際フォーラムは、一九八七年の創立以来、政府から独立した民間・非営利・非党派の政策提言集団として、自由な立場から日本の対外関係や国際社会全体のあるべき姿について、審議、研究し、さらには政策を提言してまいりました。これらの提言を中心とする日本国際フォーラムおよびその関係者の知的営為の内容を、できる限り多方面の方がたに知っていただき、その問題意識を共有していただくことが、いま何よりも必要であると痛感いたしております。
日本国際フォーラムは、このような認識に基づいて、内外情勢の変化に対応しつつ、日本と国際社会のあり方にかかわる諸問題について、一九八九年以来文藝春秋と、また一九九二年以降三田出版会と、それぞれ提携して、これまでに計十二冊から成る「日本国際フォーラム叢書」を刊行してまいりました。
日本国際フォーラムは、十三冊目から単独発行者として「日本国際フォーラム叢書」の刊行を続けてゆくこととなりました。
本叢書を通して、世界と日本の関わり方について国民的な関心が喚起され、日本の進路と人類の未来について、真摯かつ建設的な議論が行われることを切望してやみません。
一九九九年二月
日本国際フォーラム会長 今井敬