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この関連で、情報発信力の問題はメディアに限らない。日本の政治家、リーダーの、政策やビジョンを国内だけでなく世界に説明し説得できる能力が重要だと思います。アジア通貨危機の時に出された日本のAMF構想は、米国の反対で実現しなかった。しかし今年になってASEAN+3で、日中韓の首脳でAMF構想と同じものが合意され、実現されることになった。やはり日本の提案がアジアの通貨情勢安定に必要ということが理解されたということなのでしょうが、初めからきちっと主張し説明し関係国を説得できたらもっとよかったと思うのです。

 

森本哲郎 一言だけ申し上げたいと思います。歴史的に見ますと、海洋国家で海洋力を持たなかった国家などありません。海を制覇したものが海洋国家になるのです。日本も、日露海戦に勝って、海洋国家という意識が急速に生まれてきたのですね。とすれば、日本が新しく海洋国家をめざすとするならば、海軍力を強化しなければならない。それは何も海軍力によって他国を侵略するということではなくて、あくまでも防衛を目的とした自衛力ですね。例えばシーレーンの問題もありましょうし、海底資源の問題もある。ですから、海軍―今は海上自衛隊ですけれども―海をしっかり護る力、そして、海を存分に利用し得る能力、通商力、輸送力、ありとあらゆる面で海というものを舞台にしていく発想を持たねばならないでしょう。

 

 

 

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