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ところが、今の国連海洋法条約、戦後の国連海洋法会議での議論の根底にあるのは、海はまったく自由なものでだれがどう使ってもいいというものではなく、要するに分割と共有という考えで、それによって今の国連海洋法条約ができていると言えましょう。もちろん海運、航行の自由というのは最後の最後まで日本、アメリカなどが頑張りましたが、海の空間あるいは資源は、まずは二〇〇カイリ経済水域ないし大陸棚で分割するという主張と、それ以遠の深海底に眠る資源は人類共通の資源だという理念から国連海洋法条約は成立しています。そういった意味で、今後の世界をめぐる情勢の中で、まさに海をどう使うか、どのような海洋国家になっていくのかという視点で考えないといけないと思います。海をうまく利用していくためには、国際的にうまくやっていかなくてはいけないということが、今後もますます重要になってくるものと思います。

それからもう一つ、海の利用の方法がどんどん多様化していることがあります。今までは航海あるいは伝統的な漁業が海の利用の中心でありましたけれども、今後は大陸棚資源あるいは深海底資源あるいは深層水の利用に見られるように、海水そのものをどうやって使うかなど、広い範囲での利用が進められていくこととなり、それから、そのような利用をうまく持続的にするために海洋環境をどうやって保存していくかといった面も考えていかなければいけないということもあります。

 

 

 

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