そうしたらアメリカは、「これは非常に結構なことだ、大いに賛成します」と言いました。
アジア通貨基金については、皆さん、多分ご存じのように、チェンマイ・イニシアチブのスワッブ・アグリーメントというわけで実現しているんです。これも、アメリカは反対したんですが、大蔵省がそれを無視してやったからできたんです。できた後、アメリカは「こんないいものはない」なんて、こう言っているんです。だから、アメリカとのつき合い方の1つとして、そういうことを申し上げます。
山田寛(議長) どうもありがとうございました。
時間がなくなって申しわけありませんが、あとお一方だけ。
麻川黙雷 先程、20万トンの原油船が270隻も中近東から日本の間の海に浮んでいると江畑さんのお話でした。一方、岡崎さんは、第7艦隊で護れないものは、代って護れるものは他に居ないのだと仰いました。昨今、米兵10万人が引き上げるかもしれないとか、印度とベトナムの軍事同盟とか、今までと違う気配が耳目を引きつけるようになりました。それらについて、展望がえられますよう、秋山さん岡崎さんから、一言づつ教えて頂きたいのです。
山田寛(議長) そうですね。じゃあ、岡崎さんと太田さんに、すみません、非常に短く答えていただいて、それで理事長のほうにバトンを渡したいと思います。
じゃあ、すみません、岡崎さんに。
岡崎久彦 見通し、予見し得る将来、アメリカの第七艦隊が守ります。それで、守れなくなったらどうするというお話ですけど、これは、アメリカが守れないような状況ではだれも守れません。
山田寛(議長) じゃあ、太田さん、さっき東議員からの質問もあった…。
太田博 東議員のお話を伺っている限り、私が言っていた東アジアの協力体制の話とちょっと…。だから、むしろ、そうですよね、江畑さんとおっしゃったんです。
江畑謙介 なかなか簡単にはいかないので、要点は2つです。まず徐々にやっていく。例えば最近東南アジアで実施されたシンガポール、日本、アメリカによる潜水艦救難の訓練、ああいう手段を積み上げていくという方法で、少しずつ信頼醸成を行なっていくしかない。それはもちろん、ヨーロッパと違ってアジアの国々には不安定な政権が多いために、時間をかけるという方法自体がなかなか難しいんですが、でも、これしか今のところ方法がないだろうと思います。