そもそも覇権主義という定義が1つ問題になるわけですけれども、最近、『海の帝国』で書いている白石さんの定義では、その国の意図するシステムが結果的にその国の国益に寄与する、そういうシステムづくりをする国が覇権国だ、と定義すると、今、最大の覇権国家はアメリカだと、こうなるわけですね。昔は占領とか衛星国をつくったりして、覇権主義国家というのは非常に目に見える形であったわけですけれども、将来、中国が昔のような伝統的な覇権国家になるかという、それは僕はならないと思うんですね。すると、中国の覇権主義というのも、中国の意図するシステムが結果的に中国の利益になるようなシステムを追求するということであれば、アメリカと同じになってしまうわけです。
問題は、にもかかわらず、アメリカと中国とを比較すると、覇権主義的な問題について感覚が違うのは、やっぱり中国が独裁国家であり、共産主義国家であり、不透明であると。あまりにも大きな国で、一国を維持するためのエネルギーが莫大なんですね。アメリカももちろん莫大だと思うんですけれども。州ごとに選挙の管理システムが違うなんて、日本ではとても考えられませんけれども、あれもアメリカという国を維持するための知恵だと思うんですが、それ以上に中国はすごい。この大国、めちゃくちゃに大きな国である中国が、多分、ですから独裁国家じゃなくちゃ治められないと思うんですけれども、そういう国がもし先ほどの定義と同じような意味での覇権主義的な傾向を持つならば―僕は持つと思うんですけれども、それを問題にするということは、結局、中国の政治体制を問題にするということになってしまうんですね。私の意見は、中国の政治体制は、アメリカの一部の意見のように、変えていくためにいろいろごりごりやるという発想ではないんですけれども、一体、中国の政治体制がどうなるのだろうかと。現在の中国に対する懸念、不安、見通しがわからないということに対する懸念だと思います。
山田寛(議長) 江畑さん、何かありませんか。
江畑謙介 中国のという話ですと、分析的に言えば、中国は経済力もつけていますし、それに従って軍事力も向上しています。今の状況で、つまり中国共産党の下で、しかも讃?浸瓩?乕澆?譴刃??鬚修里泙涎??垢襪伐渉蠅靴泙垢函?拡?龍畭絏修マ4つの近代化の中の4番目です。この状態で近い将来も進むならば、おそらく2015年ぐらいまでには日本のシーレーンや台湾にかなりの脅威を及ぼせる力を、少なくとも外形上は持つようになるであろうと思います。