これが、軍事力による貢献ということを本格的に考えれば、ODAは減らしてもいいんです。それからまた、沖縄の海兵隊も減らしてもいいんです。ただ、そのほうの基本たる軍事力による国際貢献のことを無視しているから話が堂々めぐりするわけです。
山田寛(議長) 小池さん、お願いします。
小池百合子 私も実はODA見直しプロジェクトチームの一員でございます。昨年末にドタバタした経緯がございます。自民党内の有力者の1人は3割削減と言って、とにかく3割削減すればよいといった空気になりましたが、どうも党内権利闘争の道具にされたような趣もありました。それでも改めてODAの基本、哲学を見直す時期は来ているという認識はございます。
また、ODAだけでなく、非常にわかりやすい支援、すなわち文化交流なども見直す必要があります。私は日本の文化交流は下手くそだと、かねてから思っております。例えば空手の指導者を長年送っていたのに、もう10年やったからいいだろうとやめてしまう。そうしたら、すすっと韓国が出てきてテコンドーを教えちゃうんですよ。彼らは戦略的に支援しますから、いつの間にか空手からテコンドーに変わってしまうのです。コスト・パフォーマンスも悪いだけでなく、せっかくそこまで育った人たちが、先生がいなくなってどうしようもない。きめの細かい点、戦略も見直していかなくてはいけないと思います。
山田寛(議長) どうもありがとうございました。
それでは、テーマをまたちょっと変えて、パネリスト全員、特に基調報告の方々も、とにかく日米同盟が基軸であるということは非常に大事であるということは、もちろんみんなが認識しているわけなんですけれども、一方で、21世紀は中国政策が一番大事だということを非常に認識されている方もたくさんおられる。ただ、中国の影が少なくともこのディスカッションではちょっと薄い感じがするものですから。秋山さん、中台海峡のことを言われたんですが、朝鮮半島にしても、北朝鮮を中国がバックアップしながら、やはりアメリカとのコンペティター、ライバルと、それこそ、そういうふうなぐあいになりそうな面があるんじゃないかというふうな気もするんですが、それについて率直なご意見を伺いたいんです。
じゃあ、秋山さん。
秋山昌廣 先ほど太田さんのほうからの説明で、これは太田さんの意見ではないと思うんですが、中国の問題にちょっと触れられて、一体、中国がどこまで覇権主義的になるのかという疑念があるというご発言があったように記憶するんですけれども、私は、中国が覇権主義的だということは、もうちょっとよく考えなくちゃいけないんじゃないかと。