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先ほど秋山さんのほうから南太平洋の話がありましたけれども、あの国にとっておそらく一番の問題とは、貧困だとかそういう問題というよりは、むしろ、海が汚れるとか、地球温暖化の影響で海面が上昇するとか、そういうことなわけで、ODAの使い方も、どこの国にとってどういう使い方が大事なのかというのを詰めて議論した上で、減ったか増えたかということを議論しないと、話がおかしいことになるかなという気はしています。私がODAの使い方について考えていることというのはわりと単純でございまして、外の人間が幾ら金を投入しても、その国の人たちを豊かにするということは原理上不可能だということです。それぞれの国の人たちにみずから手に職をつけるなり技術を持ってもらって、自分で頑張ってもらうしかないわけです。我々ができることは、それを支援することぐらいかなと私は思います。具体的には、学校をつくってあげるということが一番かなという、わりと単純な意見でございます。以上です。

山田寛(議長) じゃあ、岡崎さん、コンパクトにお願いします。

岡崎久彦 確かに日本のODAは大きいんですけれども、この経緯はどういうことかと申しますと、1つは、防衛費は、自衛隊ができたころは大体GNPの2%以上あったんです。それが、60年代、70年代を通じて、予算の増分というのはほとんどが社会保障とかそういうところへいってしまったんですね。それが80年代になって、中曽根・レーガンのころにどんどん増やさなきゃいかんと。そこで、私の記憶しているのでは、まずは公共事業費の伸びよりも防衛費が多くなってきた。社会保障費のほうがまだ伸びが多いというのは、最後まで口実だったですね。でも、ついに社会保障費の伸びを防衛費の伸びが上回るようになった。それで、最後の国会説明用の手段が、ODAの伸びよりも小さいということだったんです。これが80年代通じて全部そうだったんです。だから、日本は平和外交なんだと。武力できないことを金でやっているからそれでやっているんだと。そうやっているうちにODAがこれだけ大きくなったんですね。ということは、武力でできないことをこういう形で国際貢献している、国際責任を持っているということなので、これを減らすというなら別のことを考えなきゃならない。さっきどなたかがおっしゃったみたいに、金だけじゃなしに、ほかのことでもと言うけど、それは口だけで言ったんじゃだめなので、ほかのことをしないでこちらのお金だけ減らすということは、日本の国際責任、国際貢献の全体の量を減らすということなんです。

 

 

 

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