日本財団 図書館


そういう問題があるということを南北格差って、僕はIT格差というときにいつも疑問に思っているんですけれども、iモードなんて関係ないんですね。石井さんに申しわけないですけれども。食えるかどうかわからないような国で。そういう国で、IT格差とかいったって問題外なので、一体何が彼らにとって大事なのか、それに対してほんとうに先進国は協力できるのかという観点でのことを問われているんじゃないかということを言いたいんです。

山田寛(議長) 太田さん、お願いします。

太田博 秋山さんの言われたODAの理念というか、効果というか、何のためにあるかというのは、ほんとうに重要かつ難しい問題ですが、今は2つだけコメントさせていただきますと、1つは、アフリカの国とかフィジーの話が出ましたが、今までの日本の経験、それから国際的な経験からいっても、経済援助が一番効果が上がっているのは、むしろ中程度の開発途上国なんですね。それで、中程度の、例えば韓国とかタイとかを見ていると、経済が発展すると、いろいろ紆余曲折はあっても、中産階級が育ってきて民主的な国になる確率が非常に高いということがあって、そういう意味からいっても、中程度の開発途上国に対する経済協力が一番効果があるということが経験的に言えると思います。

そこで、LLDC、つまり最貧国を相手に何のためにやるのかというのは非常に難しい問題で、私も秋山さんが言われたことに全く同感なんですけれども、例えば私の経験で言うとラオスですね。ラオスというのは最貧国ですけれども、ラオスの田舎なんかに行きますと非常に貧しくて、おそらく日本の縄文時代の生活様式に類するのではないかと思うほどですが、子供の顔があどけない。貧しい農民がハッピーそうにしているということで、こういう連中に経済協力をやって、だんだん金に対する執着が出てきてほんとうにハッピーなんだろうかという感じが非常に強くするけれども、それは我々が判断することではなくて、「そういう問題があるにもかかわらず経済発展をしたい」と、当事国のラオスなりフィジーなりアフリカの国が言った場合に、「いやいや、あなた方は経済発展しないほうがあなた方にとって幸せなんですよ」ということを先進国あるいは日本が言う立場にはないということは言えると思います。

山田寛(議長) 櫻田さん。

櫻田淳 今、太田さんのほうから、南北問題、その他のことについていろいろお話がありましたけれども、私の考え方からすると、どこの国にとって貧困が一番問題かということは、かなり踏み込んで考えなくてはいけないなという気がします。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION