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それからもう一つ、南北問題というときに、南北格差ということをよく言われるんですけれども、僕はアフリカには行っていないから、ちょっと偏っているかもしれませんが、南の太平洋のいろんな島なんかに行って思うのは、そういう国々が先進国と格差があるのは間違いないんですけれども、その格差を縮めるということがほんとうにいいことなのかと。いいことなのかというのは、要するに、結論的に言えば、平和が維持されていて食糧が確保できていれば、まことに平和な国がたくさんあるんですね。ですから、南北格差を是正するための経済協力というコンセプトというのは、若干私は抵抗があって、例えばアフリカの国なんか考えると、今、最大の問題は武力闘争ですから、平和が維持できないというのが最大の問題なんですね。通常兵器がどんどん入ってきますし。それと食糧問題だと思うんです。したがって、日本に限らず先進国の経済協力とかODAというのは一体どうあるべきなのかという、根本の問題が問われているんじゃないのかなという気がちょっとします。

山田寛(議長) どうもありがとうございました。アフリカにどういう援助をするかということになると、難しいんですけれども、IT格差の解消もやらなきゃいけないだろうし、それから、それこそ井戸を掘ったり川の水を近くに持ってきたりして、特に女性の労働を減らすということもしなきゃいけないだろうと思うんですが、ITについて言うと、UNDP(国連開発計画)の98年の統計だと、アメリカとアフリカの小さな国で一番数字的に開いているというのは何かというと、例えばインターネットのホスト数なんですね。これは当たり前じゃないかと言われればそうなんですけど、大体、アフリカの小さな国というのはアメリカの1万分の1以下なんですね。そうすると、1万対1あるいは2万対1というのでは、これはやっぱり、秋山さんが言われたように平和かもしれないけれども、ちょっと勝負にならないなという感じはするんですよね。

秋山昌廣 僕はアフリカの国はよく知りませんけど、例えばフィジーなんていう国を考えた場合に、何もフィジーの国でそんなインターネットなんか発達する必要は全くないんですよ。問題は、フィジーのフィジシャンが、結果的に今、大問題になっているのは、インディアンに国を乗っ取られちゃっているということが問題なんですね。民主主義国家というのはいいんですけれども、移入民族が増えれば大統領はインド人になっちゃうんですね。アメリカでもし白人以外の民族が多数派になって大統領になる、これはアメリカは受け入れると思いますけれども、今、フィジーなんかで問題になっているのは、あの平和な国が武力闘争になっちゃっているわけですね。

 

 

 

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