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今、日米同盟というと、朝鮮半島有事にどうするかという議論で、つまり有事をめぐる議論なのです。だけど、もし今申し上げた旧「南洋」の国々と安全保障をふだんからアメリカと協力してやるという仕組みができれば、日米同盟は緊急時のうちだけではなくて、平時において機能する仕組みになります。そういうことができるわけでございます。

もう一つは、これは、日米同盟というか、かなり大きな話なのでございますけれども、旧「南洋」の国々が直面している問題は、海洋汚染の問題であるとか、地球温暖化の問題であるとか、かなりスケールの大きな問題につながっています。こういう国々が抱える問題に日本としても協力してやるということは、すなわち、世界的な規模の問題にどれだけ日本がまじめに取り組もうとするかという意志を示すことでもあります。これは、今、申し上げた地域秩序と世界秩序の二つの観点から、旧「南洋」の国々と関係を結ぶことが大事だということの二つ目の理由です。

さらに、もう一つは、これは純粋に日本国内のための問題でございますけれども、かつて日本が旧「南洋」の国々を統治していた頃に、どういうのが日本国内ではやっていたかというと、『冒険ダン吉』という名前の漫画です。私は読んだことがございません。ここにお集まり方々の中には、おそらく子供のころにお読みになった方がいらっしゃるのかなという気がしますけれども、要するに、海の向こうに夢があって、その夢を実現しようという趣旨の漫画だったと思います。今、日本の国内で結構、閉塞感が漂っていますけれども、おそらく海の向こうに出ていけば夢は実現できるんだという諒解を、もう少し日本国内でももう一回復活させたいなという気がしています。イタリアのサッカーに移った中田英寿だとか、アメリカに渡った大魔神、佐々木主浩、イチロー、そういう人たちの活躍は、海の外に出れば、こういうことができるんだという事例として日本国内で理解されるようになればいいかなと考えています。

そういうことを含めて、旧「南洋」の国々と良好な関係をこれからまじめに築く意味ということについてコメントさせていただきました。ありがとうございました。

山田寛(議長) 『冒険ダン吉』には僕もなりたいなと思っていたものだから。

 

 

 

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