海洋国家の玄関口である港、特に神戸港の問題でございます。震災当時、援助のためのアメリカ軍の艦船が神戸港に寄港しようとしましたが、残念ながら、神戸方式なるものがございます。外国の艦船が神戸港に寄港する際には、非核証明書を出さなくちゃいけないと。このいわゆる神戸方式は、25年前に神戸市議会が決議し、いまだに続いております。極めてローカルな話ですが、極めてグローバルな話につながっていくわけです。
ちなみに、兵庫県の場合、これまで、自衛隊の中部方面総監が交代されたときのごあいさつも、兵庫県庁、神戸市役所に制服であいさつに行くことさえ認められなかった地域でございます。市議会の議決によるというのも地方分権と中央集権とがぐちゃぐちゃになっている1つの例かと思います。外国人参政権の話も、地方のことは地方で決めるのはいいじゃないかという話もございますが、私はその例からもまた気がかりな問題を有していると思っております。
港湾のあり方については、ポート・オーソリティーを作るべきと考えます。これも中央集権の中の縦割りをどのように持っていくかがポイントでございます。日本の港、海洋国家としての港の機能がかなりそがれてきた一因としてポート・オーソリティーの不在があると考えます。地方分権、中央集権、省庁ごとの縦割りの整理が、海洋国家としての機能を向上させ、ひいては、アジア各国がハブの役割を果たそうと大競争をやっているときに、日本が乗りおくれない、もしくは、さらにその一歩先に進むという点で、重要なポイントだと思っております。
それから、先ほどから防衛関係の話が続いております。ちょっと観点を変えて、環境という点にふれたいと思います。海洋という意味では非常にグローバルな問題だと思うからです。例えば日本の場合、PCB、ポリ塩化ビニールの処理問題がありまして、国内の法的な規制が非常におくれております。一言で言うと、PCBはダイオキシン問題にもつながっていく。海に流れ出したPCB、ダイオキシンを含んだ小魚を、もう少し大きい魚が食べ、海洋をぐるぐる回って、結果として、アラスカのイヌイットがそれを食べることによって何らかの発病する場合に、日本がその原因であると名指しされ、また日本バッシングを引き起こす。私は、環境というテーマは日本がリードし得るべき分野だと思います。地球環境保全に重点を置く戦略をとるべきではないかと思います。
今お話がございました世界秩序、地域秩序でございますけれども、東アジア情勢、アメリカの大統領選の結果としての共和党の出現による戦略、これらの変化を踏まえてまいりますと、私は、2002年が大きな転換点になると考えます。