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そこでどうしても着目せねばならないのは、これは岡崎大使が指摘されたとおり、これから将来100年程を見てもおそらく海の重要性は変わりません。現時点において、日本は石油だけでも中東に9割を依存しています。単純な計算をしますと、日本に20万トンタンカーで1日3隻船が入って来る必要があります。中東からここまで3ヵ月(90日)かかりますから、20万トンタンカーで換算して、この瞬間にも、ペルシャ湾から270隻のタンカーが日本に向かっていることになります。日本はその現実を無視しては枕を高くしては寝られないはずです。従って、まずこの安定を考えなければなりません。

ですから、日本の行える手段としては、まずアジア・太平洋地域の安定にいかに貢献するかという点にあります。もちろん、日米安保条約の強化が1つの方策ではありますけれども、ほかにも日本がアジアの中で独自性を発揮できるはずです。ここで私の提案なんですが、日本は信頼醸成のためのイニシアチブをとるべきだと思います。信頼醸成の面では、残念ながらアジア・太平洋方面は欧米に比べて遅れています。欧米では、冷戦終結が近くなった1980年代の後半から、OSCEなどを中心として、信頼醸成のためにいろいろなシステムを構築してきました。そこで日本もアジアにおいてこの分野でイニシアチブをとるというのが1つの方法であろうと思います。具体的には、例えば、この案は実現がなかなか難しいことはわかっていながらあえて申し上げますけれども、日本が今度打ち上げようとする情報衛星を、ある程度、信頼醸成のための共有手段として各国に情報を提供するサービスをするという方法が考えられます。もちろん日本の情報衛星の運用全てを提供するわけにはいきませんが、信頼醸成センターの設置の1つの手段にはなると思います。ただ、ここで一番注意しなければならないのは、やはりアメリカとどうやって協調性をとっていくかという点で、実はこれが一番難しい問題だろうと思います。

以上です。

山田寛(議長) どうもありがとうございました。

それでは、衆議院議員の小池百合子さん、お願いします。

 

6. コメント:小池百合子 衆議院議員

 

小池百合子 グローバルなテーマを極めてローカルなことからお話しします。私は阪神大震災の兵庫県の出身でございます。

 

 

 

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